「現在の男子フィギュアスケートの礎を築いた天才ダンサーの魂を赤裸々に描き出した秀逸なドキュメンタリー」氷上の王、ジョン・カリー NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
現在の男子フィギュアスケートの礎を築いた天才ダンサーの魂を赤裸々に描き出した秀逸なドキュメンタリー
まず、彼がオリンピック金メダリストになった際の映像を見て驚いた。優美な舞の中、当時では難度の高いと思われる(アナウンサーの興奮口調から推察)ジャンプを随所に織り込んでいる。これ、本当に40年以上前の映像かと目を疑った。その後、彼が披露した演目の蠱惑的な舞の数々。それはソロ、男女混合、カルテットであったりと飽きさせない。特に男女がアイススケートだからこそできる体を密着させてエロティックに舞う「牧神の午後」、「バーン」(これは私の筆力では魅力が伝えられない)男性カルテットが青く美しい衣装に身を包み幻想的に舞う「美しく青きドナウ」の3つの舞は特に凄かった。そして「ドナウ」の映像の後に流れる”この4人は数年のうちにエイズで世を去った”というコメント。そう、このドキュメンタリーは氷上の王の性癖も赤裸々に映像化しているのである。1点残念なのは、蠱惑的な舞の幾つかが素人撮影のため、輪郭がぼんやりしていること。当時の映像がなかったのは承知の上で、技術的に何とか解像度合を上げて欲しかったなあ。けれど、あれが却って魅力を増したのかもしれないけれど。
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