「生まれた瞬間から、鏡を見ているような兄弟だ。」影踏み 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
生まれた瞬間から、鏡を見ているような兄弟だ。
双子であることの功罪の数々。おそらく当人同士は、考えも好みも同じ人間と対峙し、鏡を見ているような気分で常に意識し、時に嫌悪してきたのか。だから山崎まさよし演じる主人公が、滝藤賢一演じる双子を目の前にしたとき、断罪する感情よりも、まるで我が身を見せつけられているような同質者への惜念しか湧いてこなかったんじゃないだろうか。
双子は2人であり、1人にはなれない。それが全編通してのテーマ。それを先に知っていれば、この映画が犯罪ミステリーなどではなくファンタジーであることを理解できる。なぜ北村匠海が常に山崎まさよしにまとわりついているのかを。でも、それは映画を観ながら各自それぞれの時点で気付く方が楽しめるであろう。
山崎まさよしが、過去の自分と向き合え、尾野真千子の存在を受け入れ、北村匠海への自分なりの贖罪が済んだ時、彼は成仏できた。それは、山崎まさよし自身がこれまでの自分を赦すことができた、ということだ。その清々しさはあった。
ちなみに、火事現場に残された焼死体の死因が、焼死か絞殺死かは調べればわかることなので、無駄に苦しんだ人生を送ってしまっていたんじゃないの?って、ちょっと焦れた。
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