「迂闊な遣り手」告白小説、その結末 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
迂闊な遣り手
結局エルはデルフィーヌが創り出した人間だったってことか…多重人格とはまた違うような気もするけど。
最後のサイン会時のデルフィーヌがエルと同じようなメイクをして自信満々でニヤッと笑ったその顔にゾクゾクした。
正直、多重人格や創造人格オチ、結局全て自分でした的な終わり方って好みでない。
安易な印象があるし、思い返すとどうしても辻褄が合わなかったり無理矢理な展開だったり、それらを全て幻覚・妄想だからと片付けられてしまうのはなかなか納得しがたいので。
この作品でも、片脚の折れたデルフィーヌには難しい行動をエルがしていたわけで、それを考えるとウーンと思ってしまう。中毒を起こして体調を崩しながらスープやココアを作ったの?とか…
ただ、この結末に至るまでがサスペンスとして非常に面白かったので妙に満足感がある。
エルにどんどん取り込まれていき、それでも逆にエルの人生を小説にしようと密に動きつつ迂闊な点の多いデルフィーヌの危うさにドキドキする。
でも、強烈なキャラの人格を創り出しそれを元に小説を書いてヒットさせているあたり実はかなり遣り手ではあるんだけども。
もしかすると、自殺した母のキャラクターもデルフィーヌの創り出した人格なのかもしれない。
きちんと謎解きされる訳ではないので、逆にエルが実在する人間だったとしたら相当恐ろしいことになる。
なんか色々考えていたら多重人格・創造人格オチも結構面白く思えてきた。
そもそもこの映画は面白かったので、オチの好みは置いておいてオールオッケーかな。
映像の作り方がものすごく綺麗。
エヴァ・グリーンが美人すぎて、その大きな目と口が怖くてこの映画にぴったりだった。