「女の子文化を応援したい」21世紀の女の子 Ryoさんの映画レビュー(感想・評価)
女の子文化を応援したい
追記: 作品数が多すぎてちょっと疲れる、一本一本が短すぎてもう少し掘り下げが欲しい、という感想をあちこちで聞きます。もっともだと思いますが、製作者は分かってるはず。あえてこういう形にしたのは、オムニバス映画としての完成度を多少犠牲にしてでも、なるべくいろいろな女性監督を紹介したい、との「企画」だったのではないでしょうか。
これが、女性クリエーターが羽ばたくきっかけになって欲しいと思いました。
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映画としての出来とか、そういうことは僕には分からないので、「感想」のみを書きます。
大変「面白かった」し、いろいろ考えされられたし、いろんな感情が渦巻いたり、なんだか感動してしまった作品もあり、気に入りました。あとで、あのとき感じたのは何だったんだろう、と確かめたくて、もう一度観に行き、ますます気に入りました。
これを観て真っ先に思い出したのが、文学評論家の千野帽子という人が書いた「文学少女文学」評論集の序文でした。この本は「脳内に文學少女を飼ってる人」のために書いた、というくだり。
この評論集はどう読んでも女性が書いたとしか(当時の僕は)思えなくて、ネットでいろいろ検索してようやく千野帽子さんは既婚の男性だと言うことが分かり、不思議な気分になったものでした。しかしその後、段々と「脳内に文學少女を飼ってる人」は、男の中にも結構いるものだということが分かってきました。もちろん自分もそうなんだということもだんだん自覚されてきました。(勘違いする人はいないとは思いますが、念の為、これはセクシュアリティとは関係ありません。)
『21世紀の女の子』は、その「脳内の文學少女」が全面的に共鳴してしまうような体験でした。
あとでパンフレットを読んでみると、メインストリームの映画で描かれる女性像に偏りがあること、女性監督が異様に少ないこと、女の子文化はいつまでもサブカルのままであること、それをなんとかしたいことが、この映画の目的の一つであったことが分かりました。
なるほど。
文学では、純文学もエンタメも、女性の作家が大活躍です。ですが、映画はまだまだ。
映画の女の子文化、応援したいものです。
ところで、パンフレットが豪華なので買ってみました。前半はきれいな写真集で、後半は映画の副読本(?)として読むことができ、充実していました。[追記: 中に短いピアノ楽譜が載っています。『珊瑚樹』のテーマ曲にする予定が、使わず仕舞になってしまったんだとか。きれいな曲です。『珊瑚樹』のセリフや動きや画面の動きに音楽的なリズムが感じられるのに注目。]