「大杉漣の役者魂を感じる濃密な作品」教誨師 ホワイトベアさんの映画レビュー(感想・評価)
大杉漣の役者魂を感じる濃密な作品
自分の運命との向き合い方が様々な6人の死刑囚との対話劇。拘置所の一室での場面が作品の大半を占めるが、そこでの教誨師と死刑囚のやり取りは一言一言の重みをひしひしと感じる真剣勝負。来たる死を前に虚言を弄して平静を装う者もいれば、自己の正当化に懸命な者もいる。でもそれらは全て死への恐怖から逃れたい一心の身勝手な行為である事をこの作品は図らずも曝け出す。一方、教誨師の仕事は無償だと言う。では彼はなぜこの仕事を引き受けるのか?その問いから教誨師自身が負う心の蹉跌も明らかになる。人の心の深淵を炙り出すようなこの作品の主役はやはり大杉漣。いぶし銀のような彼の演技無くしてはおそらくこの作品は成り立たなかったと思う。彼がくれたこの濃密な二時間に感謝です。もっと彼の作品を観たいと思うのですが、本作が最初で最後の作品とは残念。合掌。
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