「死刑囚の六人の心を、すべて受け入れ、対峙しようとする佐伯が、だんだ...」教誨師 まきさんの映画レビュー(感想・評価)
死刑囚の六人の心を、すべて受け入れ、対峙しようとする佐伯が、だんだ...
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死刑囚の六人の心を、すべて受け入れ、対峙しようとする佐伯が、だんだんと心を擦り減らし、見透かされ、お互いが暴かれていく様に、
「死刑囚」だけの映画ではないのだなぁ、と痛感しました。
あれはきっと、佐伯も六人それぞれも、どこにでもいるひとなのだと思う。
自分を強く見せようとしたり、寂しがりで喋り続けたり、愛されたいが暴走して錯覚したり、弱さゆえに手段がわからなかったり、お人好しで逃げ方を知らなかったり。
高宮、不愉快極まりないキャラクターで、彼の正義を実行してしまったことが大きな過ちではありますが、
不純物の一切ない考え方や、(正義ではないけど)実行力は正直魅力的に感じました。
あんな風に、素直に疑問を口にできない。
その高宮に触れて、佐伯も自分を暴かれていくから、佐伯も罪を懺悔をしているように錯覚して、
わたしには「死刑囚六人」の映画ではなくて、「人間七人」の映画だった。
劇中に出てきた、「穴を穴として見つめる」というセリフが私には救いで、あれがなかったら、もっと映画の世界に呑み込まれてしまったと思うし、六人が、死刑に相当する罪を犯したことも忘れて庇ってしまいそうになった。
それほど人間味のある内容だった。
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