「演技力・・。」教誨師 critique_0102さんの映画レビュー(感想・評価)
演技力・・。
クリックして本文を読む
俳優の力量こそが、この映画の核にある。
こんなにも生理的嫌悪感を感じざるを得ないのか、という高宮を演じる玉置玲央
虚言癖のみすぼらしい中年女性野口。こんな烏丸せつこに吐き気を催す。
進藤・・ホームレスの役なら、この役者、五頭岳夫。しかし、邪気のなさゆえ、自らの罪に気づかない。
普通の平凡な夫・小川が、一瞬に狂気に変わる。しかし、その後枕カバーの交換を心配するという日常性と突発的な暴力性を演技した小川登。
ストーカー男性のデフォルトそのものかと思わせてしまう鈴木こと古舘寛治。
光石研は、人に対しては器量を大きく見せる、しかしながらその実は極めて器の小さい組長吉田を演じていた。
もちろん、牧師佐伯の大杉漣はそれをストーリーの中で束ねてかなければならないわけだが。
この映画は、それぞれの俳優の力量こそが命なのだとつくづく感じる。
ところで、
先日NHKの某ラジオ番組で、ネタバレしないように気をつかいながら、この映画のラストシーンこそ見ものであると言っていた。
個人的な意見では、残念ながら、その点はそうでもない。
展開からだいたい、予想がつく「言葉」である。
少年時代の回想シーンとラストの場面、確かに映画の中では重要な意味付けを与えることになるのだろうが、いささか安易な流れに走ったような気がしてならない。
言うなれば、佐伯の過去は必要なかったし、ラストの「教誨」の言葉をも必要なかった。
コメントする