「円環構造の外へと踏み出した三部作完結編」ネッド・ライフル バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
円環構造の外へと踏み出した三部作完結編
ハル・ハートリーという監督は、やたらと円環構造とか反復表現を好む傾向があり、それはひとつの作品にとどまらず、フィルモグラフィ全体を通じて言えることだと思っている。
17年かけて完結させた「ヘンリー・フール三部作」も同様で、完結編である『ネッド・ライフル』でもみごとに一作目のセリフと呼応させた鮮やかな幕引きを見せてくれる。
ただし、同じところに戻ってくるのではなく、さらに新しい一ページを開いて、グリム一家を縛っていた呪いのようなものから解き放ってみせた。一本でもねじれた青春ロードムービーとして成立している悲喜劇だが、『ヘンリー・フール』から観直すと感慨の深さもひとしおだ。
いまの時点ではこれがハートリーの最新長編だけれど、これからの映画作家としての変化とずっと変わらぬハートリー節の合わせ技を今後も見守っていきたいので、どうかさらなる新作をお願いします!
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