劇場公開日 2018年10月12日

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「思ってたジャンルと」バーバラと心の巨人 ハルクマールさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5思ってたジャンルと

2024年1月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

全然ちゃいますやーん!不意打ちですやーん…

フィラデルフィアの海岸沿いにある小さな町に住む主人公のバーバラは、ゴリゴリの中二病な感じで、日夜巨人と戦うための準備をしている。
好きな餌の配合を調べる、餌を付けた罠を仕掛ける、武器を準備する、周囲を監視するなどなど。

でも、時代は現代、普段はバーバラも普通に学校に通ったりしてる、全くの日常世界。
こうなると、完全に周囲はもう変な人としてしか見ない。なので誰も近づかない。

すると自分の基地(中二病と言うかもう小学生ノリよね)の前で見たことのない女の子に声を掛けられる。名前はソフィア、イギリスから引っ越しえ来たらしい。なのでソフィアも孤独。そんな孤独な二人がすぐ打ち解け…ない。バーバラは変人風な上にとことん人を突き放すような口ぶりなので、ますます孤立を深める。

まあ、とは言ってもそのままの距離だとお話が続かないので、ある事件をきっかけに仲良くなるんだけど、でもやっぱりある一線でバーバラはソフィアすら寄せ付けない。
特に異常な執着を見せる巨人退治については、ソフィアもお話レベルはついていけるものの、動物の死体いじくったりし始めるともうついていけない。そりゃそーよ。

学校でも当然浮いた存在で、ソフィアが唯一の人とのつながり。それとあともう一人、スクールカウンセラーのガモーラ、違う、モル先生もバーバラのことを気にかけている。
ただ、大人には更に心を開かないバーバラ。

更に、家でも毎日仕事と家事に追われて疲れ果てている姉のカレン、ゲームばかりで存在空気の兄貴(名前も知らん)との生活もいつもギクシャクしていて、一人で巨人に向き合う時間だけが自分の時間になっている。

さて、ここまで観て、ジャンル的には私しか見えない敵と戦うホラー系なのか、それとも巨人の圧倒的フィジカルに対峙して知恵でやっつけるバトルアクション系なのかな、と思った私はお馬鹿さんなのでしょうか…。

後半、いや終盤近くになるまで、とにかくバーバラがイタい、じゃない、痛々しい。人に対して、なんでそんな言い方するのよ、とこっちが泣けてくるような棘の生えまくった言葉の数々。それを言っちゃあお終いじゃんと思うことが数知れず。それに対してガモーラ先生とソフィアちゃんはマジ献身的で、しまいにはバーバラヘイトが集まりそうなぐらい。

特にソフィアちゃんは途中あれこれあったものの、自分を想ってくれる存在の大切さと言うか健気さと言うか、完全に犯罪になるのでやめておきますが抱きしめてあげたい存在。

最後の20~30分ぐらいかなぁ、最終決戦前からもう感情の振り子が予想もしない方向に振り切れてしまって、その結末は何というか、全てを受け入れつつエンディングを迎えることができた。
久々に映画観てて、例のアレがアレしましたよ。一人でよかったー。

クライマックスまではしんどい展開との結構我慢比べ。だけど、最後はちゃんと受け入れられる結末だと思います。佳作でした。

ハルクマール