「This is America」ザ・ビッグハウス sannemusaさんの映画レビュー(感想・評価)
This is America
第8弾の観察映画は、予想外の舞台、アメリカ。
図らずも?アメリカの業の深淵さをまざまざと映し出していた。
百聞は一見にしかずというけれど、観察映画は百見くらいさせてくれる感じ。
バカデカイだけのスタジアムかと思いきや、そのデカさを支えるだけの、とんでもなく深い地元民の愛情と熱狂に支えられた奇跡のような存在であることがよくわかる。
地元民の誇りであり祭りの場である BIG HOUSE は 宗教、スポーツ、大学、政治、人種問題、軍事、すべてが混沌と混ざり合って存在している。
観客だけでも11万人を超える人々が集合している様、それだけでも圧倒されるのだけども、対比して映し出される1人1人のスタッフ、観客を観ていると、なおのこと11万人という人生の膨大さと重さを感じて、なぜか涙が出た。宇宙の莫大な広さを知ったときのような。
愛国心、愛校心、宗教、といったものが社会を構築する上でいかに重要な機能を果たしているかをまざまざと見た。
普段であれば誰もが否定しえない美談や道徳心といったものが、多視点から覗くことで薄っぺらいショービジネスにしか見えなくなる。(もちろん美談を語る本人は素晴らしい人物であろうことを前提にしつつも)
スポーツの魅力と面白さ、場の巨大さに興奮&圧倒されつつ、それゆえの恐ろしさも、それだけではなさそうな裏方の風景も一度に感じられる。今回もとても面白い経験でした。
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