「Go! BLUE!」ザ・ビッグハウス いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
Go! BLUE!
いわゆる『観察映画』と称している、ナレーションやBGM、キャプション等も組み込まず、或る場所にひたすらカメラを撮って、その場所や社会の問題を切り取る作りになっている作品である。想田和弘監督は、ラジオ番組では知っていたが、この手法の映画を観るのは初見である。
『ビッグハウス』と呼ばれるアメリカ、ミシガン州にあるミシガン大学のアメフトスタジアムの約2日間(多分、違う日だと思う)の、関わっている人達、勿論観客等も含めて、その中で特徴的な人達に視点を合せて、唯撮影を続けていく、そのオムニバスである。この手法は、編集が一番のキモなのであろう、夥しい素材カットから、如何にして時間軸を守りつつ、あるレベルのストーリー展開らしさを構築していくかが作品の要件なのだろうと思う。
で、観た感想とすれば、今作品はハッキリ言ってTVで放映すべき内容ではないだろうと思う。スクリーンで観る程の内容かどうかは、自分は疑問に思う。勿論、社会的問題定義(皿洗いは黒人の女性ばかり等)はクローズアップしているが、あくまでもそれは素材の一つであり、しかもナレーションやテロップ説明もないから、観客がそれを注意深くそれこそ“観察”していなければスルスルと映像が流れ落ちてしまう。そういう意味でも意識を強く持つ装置としての映画館ならではの映像なのである。
但し、映画として面白いかどうかと言うと話は別。勿論、ドキュメンタリーなのでカタルシスなんてものはないのは当然だが、それ以上に思い入れも自分なりに増幅させなければならないので、その辺りは厳しいかなぁと。アメリカの縮図という観方は表層部分なのだろうし、そこから先の解釈は日本に住んでいると理解できない、というより興味がないというのが正解だ。