劇場公開日 2018年12月22日

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「着眼点は良いがイマイチ理解し辛い作品。」シシリアン・ゴースト・ストーリー HALU6700さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5着眼点は良いがイマイチ理解し辛い作品。

2019年1月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

寝られる

1/9(水)に、ミニシアターの京都シネマまで、年老いた父親と一緒に京都市営地下鉄に乗って劇場鑑賞に出向きましたが、この作品『シシリアン・ゴースト・ストーリー』を観るのか『家(うち)に帰ろう』を観ようかと迷った挙げ句、結局、Twitterなどでも評価が高い本作品を鑑賞。

率直な感想としましては、イタリアのシチリア島で起きた誘拐監禁事件をモチーフに、13歳の少女ルナ視点で、失踪した同級生の少年ジュゼッペの行方を捜すダークファンタジックで幻想的なラブストーリーと事前に知った上で、鑑賞に臨みましたが、少女ルナの視点で観ると、美しくも切ない恋物語なのかも知れないですが、被害者のジュゼッペの視点では限りなく冷酷で絶望的な映画としか思えなかったですし、何故に、ロッテントマト(全米映画批評サイト)でも94%以上の人々が支持し、高評価を付けている映画なのか理解し難い作品でした。

悲惨な実話を基にして独創的な寓話的なラブストーリーにした着眼点は良いのですが、正直なところ、上映開始15分くらいで睡魔に襲われてしまうほど、お話しが冗長過ぎて、非常に眠くて、薄目を開けながら観ていたくらいでした。(実際には寝てまではいませんでしたが・・・。)

幻想的なラブストーリーにしては、123分間の上映時間もあまりにも長過ぎた点が惜しまれましたので、不必要な感じもするイメージシーンを大幅に削除すれば、もう少し目を凝らしながら、感情移入しながら鑑賞出来たかも知れなかったですね。

また、ギレルモ・デル・トロ監督の『パンズ・ラビリンス』などの世界観と比肩して批評している意見もあるようですが、今作品には異形のクリーチャーも出て来ないですし、あの独特な世界観とは少し違う様な気もしました。

最後の「献辞」で、この作品の出来栄えに納得される観客も多いのかも知れませんが、私は事前にそれも知って観ましたが、それでも、イマイチ理解し辛い作品としか思えなかったです。

幻想的な雰囲気を醸し出す劇伴や様々な環境音も工夫を凝らしてありましたが、眠気を助長するような劇伴でしたので、この作品においては、観客の眠気を覚ますような音楽を期待したかったですね(汗)。

とは言え、この映画で、特筆すべき点は、主演のルナ役のユリア・イェドリコヴスカも、ジュゼッペ役のガエターノ・フェルナンデスにしても、映画初出演の新人ながら、初々しくまた瑞々しい演技で魅了してくれていた点では、一定の評価に値するかとは思いました。

映画『ゲティ家の身代金』は生憎と未見ながらも、あの映画の誘拐事件とも同様に、シチリアンマフィアの恐ろしさは、当地の政治家や警察当局とも根強く結び付いていて、そう易々とは退治できない事に起因している、この映画のベースとなった、ジュゼッペの拉致監禁、そしてその最期は悲劇としか言いようがなかったですね。

私的な評価としましては、
悲惨な事件を基に、独創的で寓話的ラブストーリーにして映像化している着眼点は良いのですが、幻想的なラブストーリーにしては、2時間3分は長尺過ぎた点が惜しまれましたし、もっとメリハリの利いたコンパクトな仕上がりの映画にしてくれた方が良かったかなとも思いました。

私の様に、ジュゼッペの末路を事前に知った上で観てもイマイチ理解し辛い作品でしたので、私と一緒に鑑賞した年老いた父親は事前に予備知識も全くないままに鑑賞に臨んだので、最後の「献辞」を目にしても、「ホンマにイマイチよく意味合いが判らない映画やったなぁ~。」と、殊の外かなり残念がっていました。

決して難解な映画という訳でもないのですが、イメージ映像を自分で感じ取って観るような類いの作風でしたので、ある種、この作品は、謂わば観念的な映画に属するのかも知れないですね。
決して嫌いな映画という訳ではないのですが、私の場合には、観念的映画はどちらかと言うと苦手な方なので、厳しい評価になるかも知れないですが、五つ星評価的には、★★★☆(70点)の三つ星半の評価とさせて頂きました。

HALU