「Case1とは比べ物にならない程、素晴らしい」PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.2「First Guardian」 hnさんの映画レビュー(感想・評価)
Case1とは比べ物にならない程、素晴らしい
脚本家が違うだけでこんなに変わるとは思っていませんでした。
Case1はゴミですが、Case2は比べ物にならない程とても良かったです。
まずCase1とは違って、サイコパスの初期設定をしっかり踏まえています。
(例えば、サイコパスは『攻殻機動隊』との差別化を図るためにサイボーグ・電脳といったサイバーパンク的設定は意図的に採用していません。それでも今から100年後という未来の話なのでコミッサちゃんのようなドローンや今回登場したスパーリングロボットは存在している設定です。アニメ1期でも狡噛さんが使用しています)
宜野座さんが沖縄出身だということは今まで明かされていませんでしたが、「宜野座」は沖縄の地名なので想像の範囲に収まり、視聴者を混乱させません。
執行官である征陸さんが沖縄まで外出許可が出ることはないこと。そしてそろそろ人生の終わりが見えたよと自嘲しつつ発する「ただ伸元が幸せに暮らせますように」というセリフは1期の内容を知っている方なら心に響くのではないでしょうか。その後にある宜野座さんが自分に連絡なく自分の母に会いに行った征陸さんに怒鳴り散らすというシーンもこの作品には必要なシーンです。(征陸さん役の有本欽隆さんは今月頭に食道癌で亡くなられたため、あの優しい征陸さんの声がもう聞けないと思うと本当に寂しいです)
全体的な内容を見ても「刑事の勘」「身の危険がある職業の人の心理」「省庁同士の権限問題」などどれを取っても作品やキャラクターのポイントがしっかり抑えられていますし、エリミネーター使用時に対象が破裂するシーンを直接見るようなことはせず、沖縄の美しい海と合わせて描くことで哲学的な思考にすらさせられます。(2期やCase1だったら見せていたでしょう)
Case1同様に1時間という短い尺ですが、視聴者に詰め込みすぎと感じさせず、新しいキャラクターの登場というゆったりとした導入から始まり、ゆったりとしたラストで終わるため、急ぎ足どころか余韻を感じます。無駄なシーンを削るというのがとても大切なのだと思い知りました。
主人公である常守さん、狡噛さん、人気キャラクターの槙島中心の物語でなくても面白いというのは初期設定時のキャラクターの作りこみがしっかりしているからでしょう。
「スピンオフ」と言いつつも人気キャラクター頼みにする作品が多い中で、脇役に完全にフォーカスを当てた本作は「スピンオフ」のお手本のような作品だと思いました。