「うっかり大絶賛」映画刀剣乱舞 Lily-bubuさんの映画レビュー(感想・評価)
うっかり大絶賛
ゲームをリリース後に半年やって、その後はSNSで情報を少し追う程度。
アニメや舞台は全く興味なく。
実写はどちらかと言うと否定派寄りの慎重派。
映画予告を観て、これは期待できるかと暇潰し程度の軽い気持ちで観に行きました。
結果。
近年、稀にみる良質な実写化映画でした。
まずターゲットが原作ファンに向いている実写化です。
(起用俳優ファン向けや芸能事務所向け。製作陣の独自解釈実写ではありません。主に原作ファンが観ることを大前提としているタイプの実写化映画です)
実写キャストの予備知識がなかったのが、逆に良かったのかも知れません。
まず実写化映画に良く見られる、演じてます感、キャラクターにまだ慣れてません感がほとんどありません。
所作、仕草、表情、台詞の間合い、タイミング、声音、どれもゲームをリスペクトした並々ならぬ努力が垣間見れるほどクオリティが高いです。
殺陣も「予め決められた動きでタイミングを合わせてます感」が少ない。
全くないとは言えませんが、カメラワークの演出も相まって全く気になりません。
なぜかと思えば、キャストは刀剣舞台ですでに役に馴染んでいた方々だったんですね。
その予備知識がなく元の期待値も低かったため、上映中はキャスト陣の見事な刀剣男士っぷりにただただ圧倒されました。
総じて三日月。続いて山姥切、日本号、薬研はビジュアルも含めて特に素晴らしかった。
元がイラストレーションのキャラクターなので、少々コスプレ感が出てしまうのは致し方ない部分だと思います。
それをほとんど感じさせない、違和感をカバーしきる彼らの雰囲気、演技力に脱帽です。
三日月のあの優しげな眼差し、じじいめいた台詞回し、優美な身のこなし、慣れた刀と衣装(袖)さばき……。
作品の粗のほとんどをカバーしていたのは彼だったと思えるほど。
時間遡行軍のビジュアルも良いですね。
衣装やメイクさん、本当にレベルが高くて文句のつけようもありません。
最後、次から次へと赤い雷が落ちて敵勢が押し寄せるシーンの絶望感。
大太刀ってやっぱ強いんだな、と納得。
そして途中からそうだろうと予想は立ててましたが、ゲーム中の新しい刀剣男士のドロップはこういう事情だったのか!?と興奮してしまうような、最後の加入演出。
殺陣のカメラワークも素晴らしかった。
殺陣の予定調和の動きやワイヤーアクションをそうと見せない、見事なフォロー。
スピーディで、迫力があり、違和感は隠し、動きは分かりやすく。
カメラを動かしすぎて、何をしているのか分からない誤魔化し演出の作品がままありますが、今作品は匙加減がとても絶妙でした。
ストーリーも非常に良かったですね。
本能寺の変については定説はあれど、多くの謎と逸話、if説がありますよね。
信長は抜け道から落ち延びていた。
信長暗殺は秀吉の謀略説。
それらの歴史ミステリーを上手く中核に据えて物語をまとめる。
これだから歴史は楽しいのだと、歴史エンターテイメントの醍醐味を見ました。
刀視点での歴史の見方は新鮮で、ゲームでは感じきれなかった部分がとても鮮烈に印象に残ります。
個人的に審神者は老人か子供が好きだったので、そこも自分の趣味と合致してたまらなかったです。
100分があっという間で、とても綺麗にまとまっていました。
すぐに時間を作って2度目を観ようと思います。