劇場公開日 2019年1月18日

「紅白コミのメディア戦略?」映画刀剣乱舞 朔宵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0紅白コミのメディア戦略?

2019年1月24日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

単純

萌える

ゲーム自体はリリース直後から数ヶ月プレイしたくらいで、以降は流れてくる情報は見てるくらいの知識量です。特撮と時代劇は結構見てます。

漫画原作を実写映画にするとまずキャスティングがダメダメなことが多いんですが、この映画は2.5次元舞台・ミュージカルから派生したものなのでそこが担保されてます。これだけでもう刀剣乱舞の舞台・ミュージカルファンなら見るべき価値が出てくるのではないでしょうか。
残念ながら登場する刀剣男士は少数精鋭なので、メインキャストから推しが外れてしまっていると「いつ出てくるんだろ」「出てくるのかな」「もう出てこなそう」と最後まで気にかけつつ見ることになってしまいますが…少数精鋭にしたことは大正解だと思います。
武将側は時代劇目線で見てしまいましたが、自分の中のイメージ通りで感動しました。実写化作品であんな名演見られるとは思わなかったという意味ですごく意外性がありました。

元が2~2.5次元である以上、史実の武将に空想の刀剣男士が絡んでいくという絵が生み出す違和感や、舞台演技のひと癖ある感じなどはどうしても払拭することが出来ないです。しかし演出諸々を特撮寄りにしたことで、異世界から来訪した特殊戦隊なんだと脳を納得させることに成功しています。倒した敵が蒸発するのだって戦隊モノならあたりまえですが、時代劇では出来ないですからね。特撮見てたらお目にかかる場所がさりげなく使われてるあたりにもそのような意図を感じました。

そして脚本は小林靖子氏です。脚本家に釣られてしまっう特撮ファンの人、いるんじゃないですか?かくいう私もそうですが「さすが」の一言に尽きました。
時代劇側も刀剣側も少数精鋭に絞ったこと、時代劇側の登場人物は日本人なら誰でも知ってる武将に限定、ベースにする史実も義務教育レベル。
説明の必要な部分を刀剣側に集約することで、ゲームをやったこと無い人が2時間で刀剣男士という概念やゲームの世界観を知るのにちょうどいい情報量になっていると思います。武将と関係がある刀剣であるというのも記憶へ焼き付けるには最高ですね。
おかげでゲーム辞めてから出たらしい子を初見で覚えられました。

紅白のオファーは映画撮り始めた後からだったと予想しますが、
時期的にも内容的にも紅白で刀剣乱舞を見て興味湧いてる人に見せるのにちょうどイイので、元々あれ込みで練られてたんじゃないかと思うくらいです。ラストも紅白込みで考えたら納得できちゃう。
なので、刀剣ファンの人は紅白でみて興味を持ってる人が周りにいたら道連れにして映画館に通うべきでしょう。資金源になりそうな親世代は狙い目です。
そうして興行収入が伸びれば第2弾や別の展開も来ると思います。

これまで漫画原作の実写化は掃いて捨てるほど作られて来ましたが、私が覚えている限り2.5次元の舞台やミュージカルから映画に進出したのは刀剣乱舞が初なので、ここが火付け役になれば他の2.5次元舞台も映画になるかも?

朔宵