「憲法9条、自衛隊、専守防衛について考察するきっかけとなる映画」空母いぶき ミリタリー親父さんの映画レビュー(感想・評価)
憲法9条、自衛隊、専守防衛について考察するきっかけとなる映画
タイトル通り、憲法9条、自衛隊、専守防衛について考察するきっかけとなる映画と捉え辛うじて★2。
内容は、ストーリーの根幹である敵国が原作では中国であるのに対し、建国3年の豆粒みたいな島国という設定にしたことにより全てを台無しにしてしまった。
どうやったらフィリピンに程近い南沙諸島付近の建国3年のバチカン市国みたいな小国が、少なくとも数十機の戦闘機、数隻の駆逐艦、潜水艦を保有しフィリピンやベトナムではなく日本の領土を侵略できたのか。
設定があまりにもリアリティが無さ過ぎるし、原作を愚弄している。
小説や漫画の原作が有り、映画オリジナルの設定・脚本・キャラは多くの映画でも見受けられるが、殆どの場合本編に支障の無い程度。
この映画がひどいのは、例えるならゴジラの漫画原作があったとして、映画化で「ゴジラ」という主役をただのクジラやサメにした様な、主軸をオリジナル化してしまったことに尽きる。
単に「空母いぶき」の名前貸りに過ぎず、別のタイトルで別の映画として作った方がここまで酷評されなかったと思う。
憲法に羽交い締めされている前線の自衛隊、自衛官や政府、首相等の司令部の心情・表現は、実際の日本人が日本国憲法のあり方を考えるきっかけにはなり、その辺はかわぐちかいじ先生の伝えたい理念として描かれてはいる。
が、それは架空の生物との対戦である「シン・ゴジラ」の方がよっぽど上手く表現している。
酷評されている記者2名のくだり、コンビニ店長のくだりも「第三者目線」「緊張と緩和」を表現しているつもりだろうが、全く内容と噛み合っておらず、集中して見ていたテレビ番組の途中で長いCMを見せられる様な嫌悪感と違和感しかない。
店長役も中井貴一である必要が無く、俳優になりたがっている芸人で十分。
本田翼がジャーナリスト魂とやらで「国民に知らせなきゃ」とスクープ流したつもりだろうが、亡命しなければ極刑レベルの大変な重罪であろうに洋上で逮捕もされず全くのスルー。
何もかもが「おかしい」映画です。
テレビ放映でコンビニのくだり全カットでも1ミリも本編に影響されません。
最後に、憲法9条信者とそれに興味がない層には見てもらいたい。