「一人一人に突き刺さる深いテーマのその先に。」空母いぶき お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
一人一人に突き刺さる深いテーマのその先に。
戦争をしない日本の自衛隊が正体不明の相手から先制攻撃を受けたらどうなるか。
そのことを国民一人一人に否応なく、自分の頭で考えることを求める、大変よくできた映画でした。
それでもなお、人命を至上で守れるのだろうか、と。
映画の公開直前に、大量のネガティブキャンペーンが打たれました。
やれ首相役の俳優が首相の下痢を揶揄しているとか、なんだとか、かんだとか。
この風景、昔、見た記憶、デジャブを感じたのでした。
ある作品に不当に悪いイメージを貼り付けて、国民がなるべく触れないようにと行われるキャンペーン。
昔、さだまさしの「防人の詩」が散々にネガティブキャンペーンを受けて潰された、あの事例にたいへん良く似た臭いを感じたのです。
国民一人一人が、自分の頭で考えること、を極端なまでに恐れている者たちが暗躍しているのでしょう。
ただ、その手口が通用したのは、マスコミだけが声を持つ時代までだったのだと、この映画を観て、感じたのです。
ぜひそういう観点から、この映画に関するマスゴミの悪あがきを観察してみると興味深いと思います。
もちろんこの作品は、ハリウッドの戦争娯楽の世界とは懸け離れた映画で、爽快感のかけらもありませんが、ぜひ自分の眼で観て、頭で考えてみるべきテーマを突きつける、そんな作品だと思うのでした。
なお、敵国「東亜連邦」とは、どこのことなのでしょう。
映画に国名が出てきたのは、米中露英仏とフィリピンですから、これらの国々は東亜連邦「ではない」わけです。
映画中で、隣国なのに一度も国名が出てこなかった二つの国かありました。
もちろん東亜連邦の捕虜役は東南アジア系の役者を使っていましたけど、そういうことなんだろうな、と一人で合点していたのでした。
高麗連邦……なのかな。