「【老境を迎えた夫婦に起きた事。独りになったアンナは、どのように生きたのか・・。】」ともしび NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【老境を迎えた夫婦に起きた事。独りになったアンナは、どのように生きたのか・・。】
ー序盤から、ラストまで観客に与えられる情報は極めて少ない。-
・アンナの夫は何らかの罪を犯し、収監される。そして、アンナは愛犬フィンに”あの人は帰って来ない・・”と告げる。
ー途中の、扉越しの被害者の子供の母親の声。朧気ながら、アンナの夫が犯した罪が透けて見える。-
・アンナは、息子と孫に会いにケーキを焼いて持っていくが、庭先で息子から拒絶される。トイレで激しく嗚咽するアンナ。
―その後、面会した夫と息子には大きな確執があることも、示される。-
・一人で静かに過ごすアンナ。市民プールに泳ぎに行くが、職員から”この会員証はもう、無効です‥。”と告げられる。
―彼女を取り巻く、閉塞感が凄い。-
・愛犬のフィンを譲り、正装しするアンナ。いつものように、演劇学校に行くが、途中で演じられなくなり、”外の空気を吸う”と言い、部屋をでる。
そして、地下鉄の長い階段を早足で降りるアンナ。
ー物凄い緊張感。アンナの思いつめた表情。そして、地下鉄が近づいてくる・・。-
<数少ない情報のみ、観客に与えつつ、老境のアンナが置かれた状況を表す手法。それにこたえるかのような、アンナを演じるシャーロット・ランプリングの深い哀しみを湛えた表情。
ラストの彼女の行動をどう見るかは、観客次第であろう。>
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