「70年かけた友情に感動!!」家(うち)へ帰ろう とえさんの映画レビュー(感想・評価)
70年かけた友情に感動!!
とても良い映画だったなぁ
第二次世界大戦から70年が経ち、忘れてはいけないことと、新しい時代に生きる私たちが考えなければいけないことを思った映画だった
ポーランド生まれのユダヤ人アブラハムは、70年ぶりに、現在住んでいるアルゼンチンから、故郷のポーランドへ帰る旅に出る
何より、この映画の中で良かったのは、親切や優しさがリレーされていくところ
主人公のアブラハムは、どう見ても、偏屈な頑固じじい
それでも、アルゼンチンから、ヨーロッパへやって来た彼に対して、周りの人たちはとても親切に接し、彼らの助けがあって、アブラハムの旅は目的地へと向かうことができる
その旅を人生の縮図だと考えるなら、人は、常に誰かに助けられて生きているのであり、その途中で、生きるか死ぬかの思いをしても、その命を助けてくれる人が現れる
だから、最後まで希望を捨てずに生き続けなければいけない
ユダヤ人のアブラハムにとって、第二次世界大戦中にドイツ人から受けた仕打ちは、消し去ろうと思っても、身体に染み付いてしまっている痛ましい記憶
しかし、それから70年が経ったヨーロッパでは、その事実が風化されようとしている
この映画では、その現在のヨーロッパの実情を描きながら、風化させてはいけないという思いと、ユダヤ人のアブラハムとドイツ人の交流の両面を描いている
ドイツ人とユダヤ人が、互いを理解し合う気持ちも大切だし、かといって、第二次世界大戦で起きたことを風化させてもいけない
ということへの強い思いが、そこにはあるのだろう
それはきっと、右傾化するヨーロッパの中で、あの時、何が起きたかという記憶を失くしてしまうのはとても恐ろしいことで、そのためにも、互いに助け合う気持ちが大切だということなのだろう
なぜ、アブラハムは、70年前に、生まれた家を離れ、遠く離れたアルゼンチンへ移住しなければいけなかったのか
何が親友との仲を引き裂いたのか
そして、彼らのような犠牲者を出さないために、新しい時代の私たちは何をすべきかが問われている映画なのだと思った
過去に起きた出来事から学ぶことで、初めて私たちは、前に進むことができるのである