「この世の終わりに露呈する人間の本質」死の谷間 とえさんの映画レビュー(感想・評価)
この世の終わりに露呈する人間の本質
面白かったなぁ
予想外のところから突如現れた掘り出し物っていう感じの面白さだった
時代は、人類が絶滅したかと思われた世紀末
マーゴット・ロビーは、奇跡的に被害を受けなかった山奥で飼い犬のファロと共に暮らしている
そこへ、防護服を着た科学者のキウェテル・イジョフォーがやってきて、またしばらくすると、クリス・パインがやってくる
そして、彼ら3人は共同生活を始める
登場人物は、信仰心の強いマーゴット・ロビー、科学者のキウェテル・イジョフォー、謎の男クリス・パインの3人のみ
その3人の心の奥底にある欲望、そこから生まれる嫉妬、そして空しさ
そんな彼らの緊迫感ある心の動きが、とても興味深く、ガッツリと見入ってしまった
この三人劇から浮き彫りにされるのは、
人は、1年後に生きているか死んでいるかも分からないという状況になった時
どのような生き方をし、
また、最後に生き残るのは、どんな人間なのか だった
いかにも善人に見える人にも、欲望や悪意が存在し、
いざという時には、そんな人の本質にあり腹の底が見え隠れする
そして、最後に生き残るのは、信仰がある者なのか、それとも無心論者の科学者なのか、それとも、何も持たずに生きる者なのか
そして、私だったら、この時、どんな選択をするのか について考えてしまった
世紀末を描きながら、SF的なショッキングな映像を使わず、ゾンビも出さず、たった3人の心理描写だけで描ききる面白さ
終始、心をざわつかせながら人間の愚かさを思い、
しかし、欲望に打ち勝てず、完璧になれないのも、また人間だからこそなのだと思った
そして、観終わった後も、いろいろと考えてしまう映画だった