「少年の心。すごい」ペンギン・ハイウェイ CBさんの映画レビュー(感想・評価)
少年の心。すごい
12 自分はすごーく好き!
多少まだるっこしく感じた前半も、後半一気に引っ張り込まれるために必要だったんだろうと、終わってみれば思えてしまうほど、後半は心地よいリズムだった。
これを小説に書いた森見登美彦の才能には、あらためて頭が下がる。変な人なんだろうな。よくこんな話を思いつくよなぁ。
アニメ的な面で自分が気に入ったことは、全編を貫くペンギンを(もちろん愛らしくもあるのだが) 記号のように描いたこと。「人」という柔らかいというか、感情をもち、刻々変化するものと、「世界」という記号化されたもの。それは「海」であり「ペンギン」であるわけだが、その対比を自分は感じた。
そして変な言い方かもしれないが、記号化された「世界」が「人」に憧れというか興味を抱いているような感覚を覚えた。
ここらへんが、何人かの人が「海」を「惑星ソラリス」の海と似ている、と評している理由なのかな。
そして登場人物の魅力。兎にも角にも一貫している「僕」の姿勢。嫌味を感じずに見られるのは、自分も理系だからなのだろうか。
彼ならきっと「海」を解明しお姉さんと会うだろう。…って書いても、観てない人には何が何やらだよね。お姉さんの声の蒼井優にも感心しました。
今年「バケモノの子」的な少年の成長物語の部分を期待して細田守「未来のミライ」を観に行った人は、満たされなかった面を、この映画で堪能してほしいな。
ただし、話はわけわかんないです。でも、最後にはきっとわかった気になれるから、ちゃんと最後まで観ることをお勧めします。
温かく、そしてワクワクする映画だった。一緒に劇場で観てた人の9割が男性だったのも、なんだかうなづける。
やはり暗い館内の明るいスクリーンで観る映画は最高だ
2019/10/21追記
原作者 森見さんだったのか。知らなかった。
理系小説家の面目躍如ってわけですね。
2022/10/6追記
森見さんがこの話を書く上で重要なインパクトになったけいはんなの思い出が、下記で読めることを教えてもらった。いい感じ。
国立国会図書館月報 737/738号 2022年9/10月
「学研都市の思い出」森見登美彦
(リンクは禁止なので、検索してみてください)
コメントありがとうございます😊
素敵で不思議で夢のある映画でしたね。
森見登美彦さんは、全く知りませんでした。
少年が聡明で無邪気で、科学の話を好きが高じて、
ペンギンとペンギンを出す・・・お姉さん。
発想にびっくりでした。
なんの縁なのか観れました。
「夜は短かし恋せよ乙女」も観たいと思います。
CBさんコメントありがとうございます。
知的で好奇心旺盛な小学生が、大人の女性に興味があるのは当然のことだと思うので、キャラクター設定がリアルでとても良かったです。
少年が主役の作品の醍醐味ですよね。
つい先日、某大学にて森見先生の講演会が開催されていたのを見に行ってきました。
観客席からですが、生の(?)森見先生をたっぷり見られましたよ( ̄ー ̄)
森見先生はイメージ通りの落ち着いた穏やかな口調でしたが、小説の通りとてもウィットに富んでいて、大変面白い方でしたよ(笑)
会場が何度も笑いに包まれ、とても楽しい講演会でした♪