「社会へ進む人への第一歩のような作品であり社会に疲れた人のセラピーのような作品」ブリグズビー・ベア 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
社会へ進む人への第一歩のような作品であり社会に疲れた人のセラピーのような作品
デイヴ・マッカリー監督の手掛けた作品は未見。
新作映画を探している最中にあらすじを読み『ルーム』に近い冒頭だったのと、鑑賞した人が軒並みオススメしていたので興味を持った。
劇場公開時に字幕版で、そこから2025年4月2日久々に吹替版でも観賞。
観終わった後ファンでありクリエイターの物語でありながら、社会に馴染めない人々の為の作品だと感じた。
観賞前にざっくりとあらすじは知っていたものの、冒頭で流れる『ブリグズビー・ベア』の番組があまりにも90年代のあの頃の空気感過ぎて、そこで劇中のジェームズのように自分も一気に心が掴まれた。
本来ならジェームズが救出されたことに対して喜ぶところながら、小さな世界で満足していたジェームズを思うと救出後の方が居心地が悪い気がして、そんな中で生き甲斐のようになっていた『ブリグズビー・ベア』の新作を撮影するのは社会へ踏み出す第一段階として相応しいだろうなってのと、ヴォーゲル刑事のように子供から大人になっていくにつれて"好きな事を諦めることが普通になっていた"自分にはとても輝いて見えたな。
ジェームズたちが上映に向けて制作する中で、失敗したり理解を得られないことに笑って泣いて見ているうちに、創作の楽しさや創作の辛さが社会に出た後の楽しいことや苦しいことにも通じる気がして、それがこの作品を通じて理解出来たように思えたし、苦しい時や辛い時に観返して明日への活力になるバイブルのような作品になってた。
デイヴ・マッカリー監督作品はこの後まだ制作されてないけれど、原案であり主演でもあるカイル・ムーニーさんの監督作が去年制作された『Y2K』だと知り俄然興味が湧いてきた。