劇場公開日 2019年3月8日

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「72分間のテロを見つめる凄惨なドラマ」ウトヤ島、7月22日 よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.072分間のテロを見つめる凄惨なドラマ

2018年10月22日
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鑑賞方法:映画館

『7月22日』と同じく、2011年7月22日のオスロの政府庁舎とウトヤ島で開催された労働党青年部のサマーキャンプで起こった無差別テロの描いた作品ですが、テロ後の生存者が抱える葛藤を見つめる実録ドラマである『7月~』に対して、本作はウトヤ島のテロそのものを見つめるフィクション。
キャンプに参加したカヤとエミリエ。将来は政治家になりたいという夢を持つ姉カヤはまだまだ遊びたい盛りの妹エミリエと些細なことで口論してしまう。エミリエをテントに残してカヤは友人達とオスロで起こったという爆発事故について話し込んでいるところに響く悲鳴と銃声。一旦は身を潜めたカヤ達は徐々に近づいてくる銃声に怯えて森の中に逃げるが離れ離れになったエミリエが気掛かりなカヤは一人テントへと引き返す。
驚いたのは、72分間続いたと言われる無差別テロの様子をワンカメラ、ワンカットの実寸大で描いていること。カメラはずっと傍らでカヤとカヤの周りで起こっていることをずっと見つめているだけ。エミリエを探して地獄絵図を駆け抜けるカヤが終盤にふと口ずさむ歌に涙が溢れ、突然訪れる結末。『7月~』も力強い作品でしたが、こちらはそれとは全く印象の異なる凄惨なドラマ、どちらも必見です。

よね