希望の灯りのレビュー・感想・評価
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ブルーノは
何故死を選んだか。健康で仕事があって気の合う仲間もいる。でも心の隙間は埋められず、夜はなかなか寝つけない。酒と煙草は手放せない。あートラック転がしてたあの頃に戻りてえなーって。う〜ん人生に絶望しちゃったかなあ。今日は昨日のコピペで明日は今日のコピペか。まあでも他の登場人物も似たりよったりよね。そんな大っきい出来事無いし。日常の些細なことに幸せ見つけて帰りのバスで今日はいい一日だったなあって。それで十分人生ハッピーなんだけど。そういう小さなことに喜び見つけるには練習もいるなあ。毎日に感謝して生きるって。ありがとうの反対は当たり前。当たり前になっちゃ逆に生きづらくなるんかな。あと孤独も超危険よな。やばいやばい。
ドイツ再統一後、28年の無念の日々をひっそり孤独に耐え続けた中年男の死
ベルリンの壁崩壊の翌1990年10月に東西ドイツは再統一するが、政治的な祝賀ムードとは正反対に経済的には大きな混乱を来して長い不況に突入する。
特に旧東側では国営企業が民営化されて次々に倒産し、失業者が増加。その煽りで移民排斥の動きやネオナチの復活が見られるなど、経済的な格差から社会不安が醸成されているという。
本作の舞台は再統一後28年を経た2018年のライプツィヒにある巨大スーパーである。ここも東ドイツ時代は運送トラック会社だったが、再統一後にスーパーに業態変更を迫られ、ドライバーたちはスーパー店員となった。
そこに新たに採用されたのが建設業をクビになった主人公。首や腕、背中に刺青があり、少年犯罪で2年刑務所暮らしをした経歴の持ち主だが、周囲と同調する能力はあるし、仕事も真面目なために、職員に好かれて信頼を得ていく。好意をもった女性職員から自分も好かれるのはいいが、彼女は既婚者で、すぐに何かが起こるとは考えられない。
その環境の中で、彼はフォークリフトの運転資格を苦労しながら取得したり、職場での貧しいクリスマスイブのパーティでさきの女性と寄り添ったり、暴力夫が原因で彼女が休職したり等々のささやかな出来事の後、ある夜、上司のベテラン職員宅に招かれ、暗く狭い部屋で2人で酒を酌み交わす。
酔ったベテラン職員は東ドイツ時代を懐旧して、「あの頃はトラックを飛ばして、いい時代だった。今やトラックの代わりにフォークリフトの運転だ」と、無念の気持ちを吐露する。
翌日、出勤した主人公は先輩から「あいつはもう来ない。今日からお前が責任者だ」と告げられる。理由を尋ねると、「昨夜、自殺した」というではないか。しかも本人は妻と一緒に暮らしていると話し、周囲もそう思っていたが、実際は再統一後の長い年月を、たったひとりで暗く狭い部屋で過ごしてきたのだ。恐らくは28年間、ずっと無念の気持ちを抱きながら。
葬儀の日、かつてのドライバー仲間だったスーパーの同僚たちや、主人公や件の女性は一緒に参列し、無言で死者を見送る。
ここにどのような希望の灯があるのか、小生にはわからない。ただ、再統一後の地方都市でひっそりと無念の28年を過ごした中年男性と、自らそれに終止符を打った心中に思いを馳せるだけである。
東ドイツ時代を懐かしむことをノスタルジーならぬ「オスタルギー」と呼ぶらしい。2007年にドイツで行われた世論調査によると、東西分断時代の頃の方が良かったという回答が19%に上った。
あの自殺したスーパー店員と同様の人々は、ドイツにどれほどいるのかと想像せざるを得ない。本作は何ら政治的主張も体制へのプロテストも、社会的な訴えかけもせず、ただ中年スーパー店員の自殺を投げ出しただけだ。しかし、そこに無言の政治的な訴えを読み取れるような気がする。メルケルにそれが読み取れたか、少々疑問だが。
丁寧に丁寧に作られた作品
日本だと是枝監督の様な、リアリティを感じつつ、端々に映像作品としての美しさをやセンスを感じる素敵な作品でした。
カンヌ系というか、文学系というか、そういった心象をテーマに描いた作品が苦手な方は合わないと思います。見終わって「で?」となるかもしれません。
家に忍び込むシーンだけは、違和感がありましたね。流石に。
自殺した方が、奥さんがいるという「見栄」、喫煙所があるのに、隠れて吸っていたこと。何気ないシーンも、後になって色々と考えさせられるのが良かったです。
深い映画、だと思いました。
終始、静かに流れる感じ…
です。
旧東ドイツの大きなスーパーマーケットで働く人々の人間ドラマです。
それぞれが余計なセリフが少なく、周囲の余計な音も少なくて終始静かなやりとりが続いていきます。
セリフが少なめなので、各登場人物の気持を感じ取ろうと引き込ませる意図を感じさせたかった作品なんですかね?
ヨーロッパの方はこんな雰囲気の作品が多い気がします。
嫌いじゃないです。
私はたまにこーゆー感じの観たくなります。
ただ、終始静かで単調な流れなので眠くなりましたが…
笑
東西統一後の負け組を描く
東西統一後の東ドイツ、スーパーの倉庫係として働く青年の試用期間の日々を淡々と描く。
ドイツ表現派の典型のような説明を省き、描写の中から何かを感じ取れれば由とする演出手法だから、ただ観ているだけでは真意が分からずもやもや感が絶ち切れない。
人妻でありながらちょっかいを出してくるマリオン、明らかに不道徳路線なのだが孤独な青年にしてみれば純愛路線の様、DV夫らしいが彼女の私生活は殆ど語られないので真意は不明・・。
親身に目を掛けてくれる上司のブルーノがなぜか首吊り、昔の長距離トラック運転手時代を懐かしむが、そうまで拘るのなら何故復帰しなかったのか、東西統一の被害者のようだが自由を手に出来たことは彼には意味をなさなかったようだ。妻と同居と嘘までついていたのは逃げられたのか、寂しさに負けるような軟な男には見えないから、邪推すれば青年に責任者の地位を譲ろうとしたのかも・・、ことほど左様に真意不明。
タイトル、原題はIn den Gangen(通路で)、原作の日本語書名は「夜と灯りと(新潮社)」だからその辺から邦題の「希望の灯り」となったのだろうが、陳腐に思える。
原作者で脚本のクレメンス・マイヤーは自身も東ドイツ出身、東西統一で経済的に負け組となった東ドイツの労働者に視点を据えている、そういう意味では社会派の作家なのでしょう。自身も少年院に入り、タトゥーも入れ、建設現場や、警備員、フォークリフトの運転手として働いていたらしい、まるで主人公は彼の投影にも思えます。
孤独の闇、寒くてしかたない寂しさ
主人公は、無口で孤独な青年である。寂しさから、わずかでも暖かみを感じられる人とのつながりに全てを注ぎ込んでしまう。
一方、ブルーノは、孤独の闇に吸い込まれてしまったのだろう。あの酒の飲み方とタバコの吸い方には、鬼気迫るものがあった。
ともすると、自分も孤独の闇に落ちてしまいそうなことがあるから、みんなが寒さに震えながら誰かとの繋がりにすがっている姿が心に沁みた。
大量消費時代の終わりに
旧東ドイツ領内にある巨大な会員制スーパーマーケットが舞台である。
天井に届かんとする陳列棚いっぱいに並べられた品々。
どこか暗さを感じる店内。まばらな買い物客。
廃棄処分となった食品を貪る従業員たち。
資本主義に凌駕されつつも、夢のような生活を送れると信じたが、
結局、持つ者と持たざる者との乗り越えがたい断絶に打ちひしがれた人々が、
かつて培った連帯感の残滓を求めて避難したシェルターのようだ。
彼らは、スーパーマーケットに集い、共に働く。
スーパーマーケットこそが本当の家庭で、職場の仲間こそが本当の家族だと信じている。
虚飾まみれの家庭に、旧体制の瓦解を知らない世代の若者クリスティアンが仲間入りする。
体に刻まれた後ろめたい過去の名残である刺青を、制服の襟や袖で隠すようにして着替えるクリスティアン。
彼のルーティンが板についた頃、事情は異なれど職場以外に居場所がないという共通点からか、クリスティアンと古参の従業員たちの心がつながり合う。
上司のブルーノ宅で酒を酌み交わしたあとの帰り道の情景が美しくも哀しい。
大きな通りを大量消費の象徴然とした大型トラックが連なって駆け抜ける。
その脇を、そのトラックが運ぶものの恩恵に決して浴することのないクリスティアンがとぼとぼと歩いて帰途に着く。
その頃、かつてはそのトラックの運転手をしていたブルーノは、自宅で人生における決定的な決断を実行に移していたのだ。
クリスティアンが心を寄せる人妻マリオンとの、プラトニックな恋愛関係が清々しくも痛々しい。
エンディングで二人が聴く波音は、クリスティアンがマリオンの自宅で見た作りかけのパズルに描かれた海辺の音ではなかったか。
決して訪れることができないであろう彼の地のイメージを、寄り添いながらフォークリフトで共有する二人の後ろ姿に、タイトルとなっている「希望の灯」を見出すことは、正直できなかった。
あのスーパーマーケットもまた永遠ではないからだ。
あそこに集う彼らが、いつかほかの居場所を見出すことはできるのだろうか。
大量消費時代に終焉が訪れようとするいまと重なって、彼らの姿が淡く滲んで見えた。
カウリスマキみたいと思ったら
やっぱりカウリスマキが好きらしいこの監督。
激情的人間ドラマが起こることもなく、労働者階級にスポットを当て、舞台となるスーパーマーケットの制服の青色だとか、真正面から大きく人物を捉えたシーン、カウリスマキ色がちょいちょい垣間見えます。
偶然か邦題もカウリスマキの最新作に似ている。
しかし単なる模倣ではありません。
一見無機質に見えるスーパーマーケットの中で、それぞれの想いを抱えながらフォークリフトを縦横無尽に操る人々はダンスをしているようにも見える…のはG線上のアリアをはじめとする、スーパーマーケットではかかりそうもない音楽に彩られているからなのかも。
とにかく音楽の使い方がいい。
労働者階級の職場という舞台で、静かな人たちが演じる話を殺伐とさせずかつ無駄にドラマチックにするでもなく、心にしみさせてくれるのは多分に音楽の効果なのだと思います。
俳優たちの抑えた演技もいいです。
特にクリスティアンを、マリオンを見守り続け、2人の行く末に安心したかのように去ってしまったブルーノ。
仲間たちが、長い付き合いだったのに何も知らなかったと呆然とするくらい、彼の中には誰にも知られず積もり積もったものがあったのでしょう。
初っ端からなにか深い想いをにじませているような顔だと思ったけれども、ああやっぱり、と納得。
最後の波音。
どこかに行きたいのにどこにも行けない、あの頃に戻りたいけど戻れない、鬱屈した彼らの心が求めるものが、この波音の聞こえる海だったり、大型トラックの列だったり、広く広がる大地だったりするのでしょう。
フォークリフトの教則ビデオは嘘でしょ〜と笑えますw
この映画のBGMのプレイリストほしいな
音楽の使い方が斬新で素晴らしい。BGMでありながらシーンと全く調和せず、物語の外側から、独立して我々の耳に訴えかける。音に縁取られて、味気ないはずの光景がこの上なく美しく見え、別の意味を付加される。それだけで芸術作品のようだった。
ブルーノの死について、何も語られないのが良かった。人間の内面は詮索によって蹂躙されてはならないし、人間の死もまた、詮索によって蹂躙されてはならない。
「妻は寝ているから静かに」…思い出される彼の言動の断片が、奥床しく彼を愛おしませる。しかし彼の嘘や死の背後に何が有ろうと、クリスティアンにとっての彼は親身で根気強い先輩であり、ポツリと寂しげな郷愁を漏らす煙草仲間だった、それが残された事実だ。それだけで良いのだ。
クリスティアンは白痴的な美徳を持っている。マリオンを見つめる彼の表情(フランツ・ロゴフスキ!)。彼の純朴さ、彼の空白が、傍にいる人々の寂しさを誘い出す。彼の無口さは、彼が真摯に生きていることを感じさせる。
クリスマスが過ぎ、ブルーノがいなくなって、クリスティアンのフォークリフトの操縦が見る見る危うげなくなる様子に、また毎回の出勤時に上着の袖を整える仕草に、繰り返す日々は螺旋を描きながら上昇していくこと、今日はいつもの毎日と同じでありながら昨日とは違う今日であること、時間が静かに降り積もっていくことを感じ、それに対する監督の(原作者の?)愛ある眼差しを感じた。
寂しい人々が慎ましく生きながら、それぞれが何かに耐えながら、互いを尊重している。愛情に溢れた良い映画だった。
☆☆☆★★★ 「前を向いて行かなければ」 謎のタトゥーで無口な男の...
☆☆☆★★★
「前を向いて行かなければ」
謎のタトゥーで無口な男のクリスティアン。
彼が見習い(おそらく)として働き始めるのは、会員型の大型業務スーパー。
※ 1 当初は毘沙門すら満足に扱え無い。そんな彼に1から手ほどきをするのが、東西統一前にこの地に在ったトラック会社を知るブルーノ。
そしてクリスティアンが密かに恋をする女性のマリオン。
映画は、1️⃣クリスティアン 2️⃣マリオン 3️⃣ブルーノの3章構造となっているが。ほとんど、働き始めるクリスティアンの目線から日常を追い掛けている…と言って良いだろうか。
この1️⃣章は、ひたすら淡々と続いて行くだけに。正直言って、少々睡魔との戦いとなり易い。
そんな最中。突如として、クリスティアンと同じタトゥーを入れた男達が登場し。途端に不穏な空気感が漂い始める。
「これはきっと何か起こる!」
どことなく暴力的な匂いが立ち込めるのだ!
そんな空気の中、2️⃣章のマリオンは。孤独なクリスティアンの心に微かな光を灯す存在となって行く。
そんな時に、ブルーノから《海》で聞かされるマリオンの事実。
クリスティアンがその時に見る、生簀の中で魚のもがき苦しむ姿。
それは、孤独に生きる自分自身の姿か?それとも助けを求める恋するマリオンの姿なのか?
そんなクリスティアンの葛藤する表情から。観客には「今度こそ暴力的な事が…」と、不安がよぎる。
だがまるで監督から「考え過ぎですよ!」と、ばかりに。諌められる様な展開へと移行するのが最後の3️⃣章。
このブルーノの章は、そんなクリスティアンとマリオンの2人を見つめて来た、ブルーノだからこそクリスティアンに語った本音が。
東西統一が生まれ。自由社会への変化に対応仕切れ無かった自分の情け無さに孤独との戦い。
だからこそ、2人はブルーノから教えて貰った。《本当の海の波の音》を聞く事が出来た。
前半は観ていてもそれほど興味も湧かず、もの凄〜く地味〜な内容でしたが。映画が進むにつれ。人間の孤独な心の奥底に寄り添い、そんな人々を慈しむ様に描いた秀作だと思いました。
2019年4月28日 Bunkamura ル・シネマ2
※ 1 以前に建築現場で働いた経験が有るのに。毘沙門の使い方が苦手…っては、ちょっと不思議ではありますが…まあ、映画全体には特に影響は無いですが(^^;;
まだるっこい語り口ながら、喪われた祖国への想いを感じる
東西統一後、しばらくしてからのドイツの大型スーパーマーケット。
場所は、旧・東ドイツの都市郊外だ。
店では、夜になるとフォークリフトが店内を移動し、在庫の補充をしている。
そんな中、内気な青年クリスティアン(フランツ・ロゴフスキ)は、ここでの飲料部在庫管理担当として働き始めることができた。
彼に付いた上司は旧東ドイツ出身の中年男ブルーノ(ペーター・クルト)。
無骨にクリスティアンを指導していくが、クリスティアンは通路ひとつ隔てた食品・菓子部の女性マリオン(ザンドラ・ヒュラー)と出逢い、心惹かれていく・・・
というところからはじまる物語で、骨子だけ取り出せば、まぁ、どこにでもあるたいしたハナシでもない。
特に前半は、冒頭の「美しき青きドナウ」に乗せて夜間の広大なスーパーマーケットを行き交うフォークリフトが甘美な映像ともいえるのだけれど、それはそれでやりすぎでもある。
統一後の東側青年には、それが甘美に見えるということなのかもしれないが、これは観客向きの映像、クリスティアンが観ることなどない。
というわけで、冒頭から少々懐疑的な観方になってしまったのだけれど、映画が内包している旧東ドイツの青年(いやブルーノも含めて老齢の男たちもだが)の立ち位置、そんなところが映画の中で屹立するのは中盤(というより終盤に近い)以降。
なので、映画の語り口としては、まだるっこい。
内容も映像表現もジム・ジャームッシュ監督やアキ・カウリスマキ監督に似ているところはあるけれども、それほど洗練されておらず、もっさりした感じで、30分ぐらい尺を縮めた方がいいんじゃないかといった感じ。
主人公が心寄せるマリオン役のザンドラ・ヒュラーのどうってことない色気と、質実剛健的な風貌のブルーノ役ペーター・クルト、それに主役フランツ・ロゴフスキの人生経験豊富なのにナイーブな雰囲気というアンサンブルは捨てがたい。
老兵はただ消え去るのみ
ものすごく好きなタイプの映画だ。
勤務先はショッピングセンターである。私も。
開店前のまだ照明の点いていない店内は神々しく感じることがある。確かにバッハやシュトラウスの壮麗な音楽が似つかわしい。
動かないカメラ。無機質な屋内空間にもかかわらずドラマチックな照明演出。レンブラントの絵を思わせる、人物の深い陰影。
そして、ごくありきたりの人々に起きる、ごく当たり前の出来事。
それが続いたあと、この職場に衝撃が走る。
もしかして、ブルーノ、お前もだったのか。
新入りのクリスチャンに仕事を教えたブルーノも恋していたのだ。
彼の家には最初から女房などいなかったし、マリオンのことをどうりでよく知っている訳だ。
たった一つの生きる希望を、将来ある若手に譲り、自ら命を絶つ。
失恋くらいで死ぬなよ。いい歳をして。そう言いたくもなるが、彼には他に何があるというのか。老兵はただ消え去るのみ。
希望の灯りの大きさは人それぞれ
ポスターに描かれている夜明けのビジュアルから期待して鑑賞しました。
感想はと言うと…ちょっと思ってたのと違うかなw
ドイツの巨大スーパーマーケットで働いている従業員達の日常を描いていますが、それぞれが過ごし、抱える日常に何か劇的な事件が起きるなんて事はそんなに無い訳なので、淡々と進んでいきますが、もう淡々と進み過ぎてw、寝不足で鑑賞すると睡魔に襲われます。
試用期間の新人で派手なタトゥーが入っているが、寡黙で真面目なクリスティアンを主人公に上司に当たるブルーノとクリスティアンが恋心を抱く年上の女性のマリオンの3人が中心。
ホント、特に大きな事件的なのは起こらず、序盤はクリスティアンのフォークリフトを覚えるまでとマリオンへの恋心の葛藤、そしてブルーノに起こる出来事ぐらいが物語の起伏ぐらいで、笑えるポイントはフォークリフトの筆記研修の際のビデオの映像ぐらいでしょうか? ちょっとそこだけ悪ふざけな感じですw
それ以外は日常に起こる普遍を楽しむ作品なので、もうこう言う作品なんだと理解して観るのが正しい鑑賞の仕方なんですよね。
ただ、8割がスーパーマーケットの中での情景なのでやっぱり退屈になる所が多々ありなので、もっとドイツの淡々としながらも何処か思いの馳せる情景や夜明けのビジュアルを入れて欲しかったかなと言うのが個人的な感想。
日常の儚さややるせなさは多かれ少なかれ、殆どの人が持っている事なので、単にその部分だけを見せられる事で共感は出来ても、それ以上でもそれ以下でもないので、登場人物達の思いや悩み、やるせなさや心の機微に感動や葛藤にまでは至らないので、そこでドイツの風景を描き出す事で国は違えど、思い悩む事は同じだなぁと言う感情移入出来たポイントになったのではと思います。
スーパーマーケットと言っても、日本で言う所のコストコみたいな巨大スーパーなので、日本と違う所も多々ありで営業時間中に店内にお客の間を掻い潜って、フォークリフトが走り回るなんて、ちょっと考えられないし、廃棄物を貪り食う事や、恋心を抱く相手の家に忍び込んだ事がバレても許されるなんて事があるかぁ!と言う突っ込みも流されるくらいに淡々と進んでいくのがある意味凄い作品。
それでも、こう言った何気ない事を描くドラマの作品を鑑賞する時間を過ごす事の贅沢さを改めて気付く事も出来たりする訳ですし、この作品を鑑賞する為に初めて柏の「キネマ旬報シアター」に行ったのは良いきっかけになったので、いろんな意味できっかけになる(なった)…様な気がする作品ですw
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