「文化性の違いを感じた」ドント・ウォーリー andhyphenさんの映画レビュー(感想・評価)
文化性の違いを感じた
風刺漫画家ジョン・キャラハンの話であり、ロビン・ウィリアムズが温めていた企画。それを20年の時を経てガス・ヴァン・サント監督が映画化。
最後に収斂するように意図して仕組んでいるのは分かるが、構成のとっ散らかり方が凄い。しかし、それはとても映画的であり、映画だからこそなし得る技ともいえる。
悩ましいのは、踏みとどまっているようで、これってセラピー、自己啓発の類だよな...という感情が抜けなかったこと。カウンセリングの重要性は分かっているつもりだし、これらの出会いがなければジョン・キャラハンは彼たり得なかったのかもしれない。しかし...何だろうな...あのステップ...?(そこが重要なわりに何故か飛ばしているような気がする)が「良い」のかと聞かれると躊躇ってしまう自分がいるのだ。正直、葛藤の描き方が足りていないというか...どん底とは何なのだろうかということを考えてしまうのだ。私は割と心がないのかもしれない...と思ってしまった。描いているプロセスが映画故の編集なのか、リアルなのか判別もつかないが、「あれで足りるのかな」という...挫折と癒しがどちらも半端というか...。ジョナ・ヒルとの関係性を掘り下げるならルーニー・マーラの方は...?というような事を考えていた。
あと、肝心の風刺漫画がうまくフィーチャーしきれていないのも気になった。
多分、文化性の違いもあると思う。セラピーや漫画の風刺性、笑いはその国の文化が強く影響するものなので、私がアメリカで生まれ育った人間だったらまた全く異なる感想を持った可能性がある。
役者個々の演技はとても良かったと思う。ホアキン・フェニックスの変化ぶりは凄いなと思った。あとジョナ・ヒル...最後の最後で急に人間臭さマックスになるジョナ・ヒルがある種衝撃的だった。