「電光パンタグラフ」嵐電 atararuiさんの映画レビュー(感想・評価)
電光パンタグラフ
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映画は観たとなるのが普通だけれど嵐電は体感に近い 三組三様の話と狐&狸に嵐電が混線して これは何?どういうこと?が幾度となくグルグル頭を過る
不思議な浮遊感と路面電車に揺られ 諸所 人々の心情が蠢く
そこに京都の風情が独特の色を添える
きっと人の頭にも見えないパンタグラフが乗っていてそれぞれのレールを走ってる そんな幻想が見えた
鈴木監督によると主人公の目線で撮らずドキュメンタリー調にもしてあるそう
喫茶店 皆が嵐電の古い映像を鑑賞中
音楽でその時代が蘇るように映像もまたその頃を呼び起こす 音も映像も電車も人の心も流れ廻る 変わってしまって時に同じ心だけが取り戻せなくなったとしても
昼寝から目覚めた衛星さんに斗麻子さんは「おかえり」って言う それに答えて衛星さんは「ただいま」と
なんて幸せな昼下がりだろう 斗麻子さんみたいな女性にならんといけへんな
譜雨と嘉子すれ違った線路が交わる二人の足下
でもこの時までもかなりストーリーに釈然とせず納得していなかった
監督が苦情がくると言われてたのも解る(苦笑)
が、エンディングの音楽が流れてきたその瞬間に私のパンタグラフが感知した
線香花火のよに静かに焼け付く切なさを
ちょっぴり泣けた
-------------- もうそれで充分
頭ばかりで考えていたら大切なことを忘れてしまう 悲しいから泣くのではなく泣くから悲しいんだ このこと忘れないようにしたい
結局三組ともハッピーエンドだと思えた 妖怪の魔力に打ち勝てるのは人を想う気持ち
夜の闇には見えない人の心が縦横無尽に飛び交っている 狐と狸にその心狙われないよう御用心
なるほど この作品は
これでいいのだ
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