「ローティーンズ向け」劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか オリオンの矢 Geso_de_Nyoroさんの映画レビュー(感想・評価)
ローティーンズ向け
ダンまち1期を完視聴したものの、外伝(ソード・オラトリア)は途中棄権した自分が言うのも難ですが、このファンタジー作品は特別目新しい部分はないのに比較的人気を博したのには、キャラの魅力にあったのだと思っています。ヘスティアの『例の紐』に代表される軽微なエッチぃ要素や作中のギャグ回しに加え、かの作品とは違い最強の主人公ではない努力型のベル君や、癖のある取り巻く人々にも何となく親近感が湧きます。
でもこの辺りの設定やストーリーの構築など鑑みると、対象年齢が若干低めに設定されている意図が伺えます。ところが実は二次元オタク各位のその辺の感覚は比較的肥えていて、鑑賞客は面白く感じる一方でイササカ幼い印象を受けた可能性があります。
正直、異世界ファンタジーのジャンルではこれ以上の何かを期待するのが厳しいのかも知れません。大枠はモンスターを成敗する大筋から出ず、見どころとしてその主幹から伸びる枝葉に注目する訳ですが、今作はその辺もあまり変哲がなくて平凡でした。捻りもオプションも魅力には欠ける印象で、原作のアイデアと工夫が今一歩な感じでした。
異世界に現世の『日本のお祭りのソレ』が出現する事自体どうかと思うし、悲しく虚しい展開を盛り上げるのに、敵キャラがこれまた現世に存在する『既存生物のソレまんま』のスタイルで、CGがネウロイ風味なのは、劇場版として壮大に見せる上で感情の盛り上がりを制限して(我に返ってしまう)しまうのではないかと思います。
実際はこの辺は冒頭の対象年齢の意図があって、解りやすさ重視で盛り付けを手加減したのかも知れません。ですがもしそうであれば、その副作用で展開が強引になり、そして仕上がりが薄味になってしまいました。
ファンムービーとしての出来は問題ないかと思いますが、どうにもオマケ感から抜け出る程の印象がないのが残念です。先に上映された『Re:ゼロ』劇場版とは異なる原因で物足りなさを感じてしまいました。