「上質な青春映画だか、ロンダリングされたところも。」芳華 Youth ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)
上質な青春映画だか、ロンダリングされたところも。
1976年文革後の人民解放軍の文工団を舞台にした青春群像劇。文工団は慰問舞踊楽団みたいなもの。
男女混合で訓練と鍛錬に明け暮れながらの共同生活で、友情恋愛を経てある者は、戦場に行き地獄の様な体験する。
とても良く出来た映画だか、中国共産党が知られたくない都合の悪い部分を上手くロンダリングしている印象は強い。
例えば、ベトナムとの中越戦争を描いているが、戦場のみに限定されていて大局は、ボカしている。
実際にはベトナム軍にボコボコにされた負け戦なのに。
当然なのか?毛沢東や政策や文革への批判的な部分は皆無だ。
軍隊生活も訓練も美しくて清潔感に溢れた描写が殆どで、軍服はシワ一つなく新品みたいなものを皆着ている。
兵器も車両も博物館の展示物みたいピカピカ。
ただ、製作者の反骨精神を感じるのは、戦場の悲惨な描写が凄まじくて「ランボー4」みたいなリアル人体破壊描写は連続して起こる。
これ見て戦争したがる奴は、危険でアタマおかしい。
90年代の頃の街にいる治安維持部隊もワイロ上等な腐敗した組織として描かれている。
あくまでも、地位も権力も無い人民の目線が貫かれているので、そこには感動できるが、そこからの解読も必要だと思います。
映画や娯楽に、政治批判を持ち込むのが、嫌いな人もいると思いますが、映画は元々、宣伝や扇動や告発に利用されてきた歴史があるので、そこは外せないと考えてます。
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