「月明かりの下で踊る、君の美しさを忘れない。」芳華 Youth bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
月明かりの下で踊る、君の美しさを忘れない。
時代背景が先ずは気になって。文革・毛沢東の死後で中越戦争前後。現代史美化に走らず、反戦に触れず。ただ、その時代に生きた若者達の物語。
本編は反則級の美女揃い。一瞬で参りました。が、生活は、めちゃくちゃヘビー。あの国には平時ってもんが無いんだ。しかも共産党による粛清の時代。一見華やかなに見える文工団も駐屯地を慰問して回る生活は軍人そのもの。
愛だの恋だのイジメだのが目まぐるしかったのに、いきなり中越戦争の最前線にワープ。これにはちょっとビックリ。
野戦病院は死を看取る場所。精神逝ってしまったシャオピンが、月明かりの元で踊る姿が切ない。自分の心を殺した少女は、踊る事を覚えていた。好きだったリウ・フォンの声には反応しなかったのに。踊ることから衣装係に逃げていたのに。痛ましい彼女の、ただ一つの、ただひと時の救いの時期が文工団だったんだ…イヤ、ここが一番切なかった。
軍中楽園ほどではないけど、結構ジワってます。好きな方です。
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6/10追記
シャオピンが泣かせ役。イヤらしいくらいに泣かせに来る。もう止めろ、止めてくれって言いたくなるくらい。日本映画で描かれる戦時中の女学生そのものやんか。ん?ちょっと待て。建国以来、他国を侵略したことなど一度も無く、安寧に国を治めて国益を積み上げて来た国ってどこだっけ?なんで戦時中の日本の女学生を彷彿とさせるんや???なんて事は考えちゃダメなんだけど。
登場時の愛くるしさが苦しい。人民服の記念写真。懐中電灯を灯しながら収容所の父親にシタタメル手紙。夢中になって踊りに取り組む姿。イジメ。いじける姿。野戦病院での凄惨。助からないと判っている少年兵をかばう姿。精神を病みながら月明かりの元で踊る美しさと笑顔。10数年目の告白。
頼むから、これ以上泣かさんでくれ。ってくらいのシャオピンの人生なんだけど。冷静になって考えてみると、俺とそれほど年は変わらないのではないのか?
その事実が、何にもまして一番の衝撃だった。
住む社会がどうであれ、人はそこに幸せを見つけて生きて行ける。違う時代、違う社会から見れば、「そんな事は幸せなんかじゃないよ」って思えることであっても。なんだが。シャオピンの幸せは、あまりにもちっぽけで。。。
ただただ、染みた。
シャオピンの恋は切なかった。
どんだけイジメにあっても耐えてきたのに、
しっかり看護師やってたし・・・
あの丁丁って子に抱きついた事件がズキーンときました。
え、私じゃないの?
胸がないから?
言葉にできないつらさがありました。
ブラのホックは外してないっす!
そこまでしてないっす!と言い訳が欲しかった。