劇場公開日 2019年4月12日

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「近代中国の変わりゆく時代背景をベースに革命政府の組織に所属していた少年少女の関係やその後の人生の趨勢を丁寧に描く」芳華 Youth NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5近代中国の変わりゆく時代背景をベースに革命政府の組織に所属していた少年少女の関係やその後の人生の趨勢を丁寧に描く

2019年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

人民解放軍を慰労する文芸工作団の存在自体知らなかったが、その文工団に属していた少年少女達一人ひとりの激動する近代中国での生き様をフォン・シャオガン監督は時には優しく、時には苛烈に描いている。少年少女たちが青年期を迎え、様々な想いを交錯させながら成長していく姿が切なくも、美しい。どのような時代でも人間の青年期とはそういうものなのであろう。観ていて、何だか懐かしくも辛い思いを抱いてしまったのは自分自身もそうだったからだろうか。舞台背景は近代中国だが、この監督が描きたかったのは青年期に誰もが抱く、哀しく、切ない様々な想いだったのではと勝手に解釈した。青年期とは儚くも美しいものなのだ。この映画に感銘を受けるのは、その後の彼らの生きざまもしっかりと描いているところだろう。それ故に、作品の奥深さが増幅し、観終わった後の余韻もより豊饒に感じることが出来たのだと思う。

NOBU