「制限ある中でも失われない若者らしさ」芳華 Youth とえさんの映画レビュー(感想・評価)
制限ある中でも失われない若者らしさ
号泣してしまった
1970年代中国の文化大革命から、冷戦、ベトナム戦争という時代の流れの中で、青春時代を国に捧げた若者たちの姿を描く
正直、この映画を観る前は「文革の映画」と聞いて、苦しくて辛い訓練の話なのかと思った
しかし、そんな話ではなかった
もちろん、彼らの生活には制限があるけれど、その制限の中でも、彼らなりに青春を謳歌する姿が描かれていたのだ
与えられた任務に必死になりながらも、友人たちと楽しい時間を過ごしたり、ときめいたり、恋をしたり
もちろん、そんな良い面ばかりではない
残酷な若者らしいイジメもあるし、人に傷つけられたり、傷つけたりもする
そうやって様々な感情を抱きながら彼らは成長するのだけど、その中身は民主主義で育った私たちと大差ない
しかし、そんな彼らと、私たちの間には大きな違いもある
それは戦争だ
冷戦時代、ベトナム戦争に参戦した国のため、本人の意思とは関係なく従軍し、多くの命が奪われてしまう
それまで「私たちと変わらないな」と思いながら観ていたからこそ、そこで苦しむ彼らに共感し、同情し、号泣してしまった
私は特に、イジメられて育ちながらも、その心の美しさを失わずに生きているシャオピンに共感しながら観ていた
なんとしてでも、シャオピンには幸せになって欲しいと願いながら…
中国でも、日本でも、共産主義でも、民主主義でも、青春の美しさは変わらない
そう思った作品だった
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