「ギリギリで適温に保たれる情緒の温度」芳華 Youth MPさんの映画レビュー(感想・評価)
ギリギリで適温に保たれる情緒の温度
中国の文化革命が終焉を迎える頃、同志たちを歌や踊りで勇気づけた文化工作団、略して文工団に所属していた若者たちの恋愛模様が描かれる。彼らは皆純粋で明るいけれど、時代のうねりは間もなくすべてを飲み込んでいく。時の流れの中に捨て去った貴重な時間への尽きぬ思いと、それでも変わらない人の心を描いて、この映画は中国で記録的大ヒット。つまり、今も多くの中国人は文革時代のピュアで平等だった頃に一種の憧れを抱いているのかもしれない。それが分かる貴重な映画であると同時に、ノスタルジーを描く上で欠かせない情緒の温度が高くなりすぎず、ギリギリで適温に保たれた希有な作品である。
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