「劇団「アナ雪」による新作アドベンチャー」アナと雪の女王2 天秤座ルネッサンスさんの映画レビュー(感想・評価)
劇団「アナ雪」による新作アドベンチャー
普段は外国映画は絶対に原語で観る派だけれど、「アナ雪」だけは吹替で観たいと思う。今回は前作から一部キャスト変更があれど、神田沙也加さんと松たか子さんがいてくれることの崇高さ。神田さんではないアナも松さんではないエルサも想像ができない。二人の演技と歌唱パフォーマンスは本当に圧巻。映画を見ていろんなことを思っても、まず最初に語りたいのは「松たか子さんの歌は本当に素晴らしいね!」である。
内容についてでいうと、なんというか「続編」というよりも、アナ雪の登場人物を使って新たな冒険記を作り始めてみた、というような印象を受けた。まるで「公式が同人漫画を描いた」とでも言うような感覚。物語はしっかりとしているし、テーマ性もしっかりあるものの、あえてそれをアナ雪でやる必然性とは?と考えると首を傾げてしまう。この内容なら普通に新作映画を作るべきだったのでは?と思うような。でもなんだかこの流れでシリーズが続いていきそうな気がする。今後「アナ雪」は冒険ものになっていくわけね。
決して「2」が悪いわけではないけれど、あまりにもストーリーに様々な展開を盛り込み過ぎて、過剰に壮大になってしまい、収拾をつけるのに些か強引さが否めなかった。エルサやアナたちはごく微細な糸口から全てを理解し次の展開を読み解く才能に長けた人たちと化しているし、両親の出会いや過去はストーリー設定上重要な意味を持つにも関わらず案外さらっと流される程度。ただエルサが第5の精霊だってことだけは一瞬でわかりました(でもそこはそれでいいと思う)。
楽曲に関しても個人的には物足りないの一言だった。キャッチ―で耳に残る名曲揃いだった前作に比べ、耳に残る曲がなかなかない。とは言えこればかりは前作が奇跡だったとしか言いようがないかもしれない。どの曲も一度聞いただけで次の瞬間には口ずさめてしまうようなパワーと存在感のあるミュージカルは、そう簡単に二度は作れないものなのかもしれない。
とは言え、最終的に訪れる「早く来た代替り」は私にはすとんと腑に落ちた。まるで「もののけ姫」のエンディングのように、それぞれがいるべき場所へと戻っていく。エルサが森で暮らし、アナが女王になるのは、考えたら極めて自然なことのように思えた。ずっと一緒だと約束した姉妹が自分たちの決断で離れて生きることを選ぶことの意味。この点は大いに合点がいった。
そしてどう考えたとしても、アナが女王になってからの話が更なる続編で描かれる気がしてならない。