「二度目の奇跡は起きず」アナと雪の女王2 不敗の魔術師さんの映画レビュー(感想・評価)
二度目の奇跡は起きず
前作「アナと雪の女王」は全然ノーマークだった。
ディズニーとかあまり好きじゃなかったし。
なのに何故いい歳したオッサンが公開日含め3度も劇場に行って都度涙したか。
それは劇場予告として所謂「レリゴー」の場面を丸々流されてしまったからである。
世間でさんざ話題にされて陳腐化した今でも胸を張ってあれは大名曲だと言える。
予告であそこだけ流した当時はどういう場面か当然分からない訳であるが、イディナ・メンゼルの圧倒的感情表現とディズニーの素晴らしいアニメーションによる表情の演技で「この人は平気だと繰り返して最後には不敵な表情まで浮かべるけど、全然大丈夫じゃないんだな。メッチャ強がってるんだな。なんて健気なんだ。」と泣けてきた。
本編でも戴冠式に臨む姉妹の対比的感情とか、運命の人と出会った!と浮かれまくるアナとか、感情と名曲の一致度が素晴らしかった。
振り返って本作はどうか。
囁きを聞いて未知の世界と王国の間で揺れ動くエルサの曲は素晴らしかったけど、印象に残る曲はそれぐらいかな。後はキャラクターの感情とぴったりハマった名曲の印象があまりない。ちょいちょい出てくる山小屋の主人とか、プロポーズ失敗の天丼とか、散りばめられた小ネタは面白いし、前作の疑問点にキッチリ答えたのはいいけど、ミュージカルとしての感覚的快感が失われたように思う。
駄作では勿論ないけれど、及第点という感じの一作。
前作のハードルが高すぎるからしょうがないと言えばしょうがないのかな。狙って起こせたら「奇跡」じゃないしね。