劇場公開日 2019年11月22日

「推すべき音楽を間違えている」アナと雪の女王2 アラカンさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5推すべき音楽を間違えている

2019年11月23日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

字幕版を鑑賞。前作から6年目の続編である。エルサとアナの姉妹のうち、何故エルサにだけ魔法の能力があるのか明かされるという前振りだったが、私の頭が悪いせいか、結局何故アナには特殊能力がないのかは分からなかった。吹き替え版では前作でオラフを演じた俳優が薬物で捕まってしまったために代役を立てられているが、字幕版ではそのようなトラブルもなく、ブロードウェイの本格的なミュージカル・シンガーの歌声が堪能できるのでお勧めである。

映像は相変わらず息を飲むほど見事なもので、特に森の紅葉に光が射しているシーンなどは感涙ものであった。物語のポイントでは水の表現が圧倒的なリアリティを持っていて、流石はディズニーだと思った。その一方で、前作であれほど惚れ惚れした新雪の表現が見られなかったのは残念であった。氷は沢山出てくるのだが、雪の扱いが疎かになっていたと思った。

物語は、前作の後付けにしては良く出来ていたと思った。特に、謎の呼び声の正体が分かった時には非常に感動した。失ったものの喪失感と甦りの神々しさは、おそらくキリスト教文化のなせる技ではないかと思った。ただ、平和の象徴として建造されたものを闇雲に壊せばいいという展開には首を傾げたくなった。工学の成果をひたすら否定する「もののけ姫」のような悪臭を少し感じた。

音楽は前作と同じ人が担当しているが、テレビ CM でよく流されている “Into the Unknown” は、前作の “Let it Go” に比べるとただの発声練習曲のように聞こえてしまって魅力に乏しいように思った。しかし、物語の終盤で歌われる “Show Yourself“ と “The Next Right Thing” は物凄い曲であった。特に、アナが歌った “The Next Right Thing” は、「レ・ミゼラブル」の “On My Own” に匹敵する名曲だと思った。

演出は非常に見事で、あらゆる動きのあるシーンに圧倒的な説得力を持っていた。非常に見応えがあったが、これで “Let it Go” のようなキャッチーな曲があればと惜しまれた。エンドタイトルの終了後にちょっとしたオマケ映像があるので、最後まで席を立たないことをお勧めする。
(映像5+脚本4+役者5+音楽4+演出5)×4= 92 点。

アラ古希