「これぞ求めていた実写版(CGだけど)」ライオン・キング Spiさんの映画レビュー(感想・評価)
これぞ求めていた実写版(CGだけど)
ディズニーの中で実写ブームが来ているもののそれも良し悪しで、実写化して良い部分は確かにあるがどうしても文句を言いたい箇所というのが出来てしまってる作品も少なくない。
ところが本作は個人的には文句なんてないほどに感動した。
ストーリーの本筋に変に手を加えてはいないので名作がそのままリメイクされている。この当たり前でごく自然なことがなぜか出来ない作品がやたら多いのが実写化の一番の不安要素なのだが、それは杞憂に終わった。
よくリメイクするなら新しい要素が追加されていないとリメイクする意味がないなんて言う人がいるが、それはリメイク元に改善の余地がある場合のことで完成された作品に手を加えようとするとよほど上手い人でなければすべて蛇足になってしまう。一応、美女と野獣のパロディシーンが追加されているものの、これくらいは遊び心があって楽しいと思うが。
では、原作をただなぞってるだけの本作は作る意味はなかったのか。それは違うだろう。技術の進歩により映像としてよりリアルな動物に近づけることが出来たのだ。当時のライオンキングも本物の動物の動きを徹底的に観察して作られた作品なので動きにリアリティはあったが、映像としてはどうしてもアニメーションの域を超えることは出来なかった。その時の悲願が叶えられたのだからリメイクとしては至極真っ当な作品と言えるのではないだろうか。
ライオンたちが反旗を翻してハイエナたちと戦うシーンはアニメよりも見応えがあり、ティモンとプンバァがコミカルに戦うシーンもかなり自然に描かれている。シンバとスカーの決闘も作り手が暴走すれば変なエフェクト入れだすところだろうが、ちゃんとライオン同士の戦いの様子だけで盛り上がるシーンを描けているのはしっかり作られていて良かった。
そして何より子どもの頃のシンバが可愛すぎる。決してアニメ版が可愛くないと言ってるわけではないのだが、本作のシンバはただ走ったり跳ねたりしてるだけでもずっと見ていられそうだ。
一応イチャモンをつけるとするとスカーが歌う「準備をしておけ」という歌が個人的に好きなのだが、本作では到底歌とは言えないシーンになっており、こんな歌だっけ?となってしまった。
また、ハイエナ三人組のシェンジはそのまま登場しているのにエドとバンザイが別のハイエナに変わっているのはなにか理由があったのだろうか。必要性が感じられない。
まぁ、そのへんはわりと物語にあまり関係のないことなので概ね大満足。久々に心から見てよかったと思える作品でした。