劇場公開日 2018年12月7日

「純粋なエンタメ映画」来る Juneさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0純粋なエンタメ映画

2018年12月10日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

原作至上主義者ではありませんが、これは原作小説の話の筋の方が面白かったと思いました。

映画はホラーというか「行くぜ!鬼退治!」的なエンタメでした。
わざとらしすぎる派手な演出や音が多くてあまり怖くなかったです。ハリウッド的でした。もう少し抑えた演出と普通の音でジワジワと来る恐怖を見せられるのではないかと思いました。

小説でも書かれていた、「人間の闇」と毎日のちょっとした積み重ねから壊れていく「人間関係」「家族関係」、その歪みに怪異が引き寄せられていくことが描かれているのは良かった。
俳優陣の熱演も素晴らしかったです。

小説の題名は「ぼぎわんが、来る」。

映画は「怪異の正体とかどうでも良し。やっつけるのみ!」ということでした。

しかし小説では「来る」怪異の正体を追って、最強の霊媒師琴子とフリーライター野崎が推理し、ついには真相を暴くというミステリー仕立てにもなってました。
「あんな恐ろしいものは誰かが呼ばなければ来るわけない」
じゃあ誰が呼び寄せたのか?なぜ田原家にまとわりつくのか?怪異は遠くから「来ている」が、どこから来るのか?そこら辺がちゃんと書かれてました。
怪異の正体と関係があるのですが、昔の貧しい農村では、口減らし(食糧確保のため)の姥捨山や赤ん坊を間引いていた忌まわしい歴史があり、そこから派生したであろう怖い民間伝承や民俗学の話しもほどよく書いてあり、絵空事のようなこのホラーに現実味を与えてました。

日本古来の民間伝承と、普遍的かつ現代的な問題がひとつに組み合わさり、謎が解けていく過程は秀逸でした。
これを映画で省略しないで欲しかった!!

と、長々書きましたが、つまり私的には感想は
「映画はホラーとして見ない方がいい」
「原作小説の話の筋の方がしっかりしている。ちゃんと謎が解けてスッキリする」
ということです。

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June