「……なんだそれ(笑)」来る flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)
……なんだそれ(笑)
これは映画のラストシーンのセリフなのだが、この後、暗転してエンドロールが始まった画面を見ながら、同じセリフを吐いてしまった(笑)
まず致命的なことに、まったく怖くないという、ホラー映画としては致命的な欠点を抱えている。
なんせ、極端にホラー表現が苦手で、あの「貞子3D」ですら映画館で悲鳴をあげてうるさかった私の妻が、本作では一声も発しなかったのだ(笑)
私の妻を怖がらせることができなかった時点で、ホラーとしては0点、というか評価対象外、としか言いようが。
登場人物の設定、ぼぎわんの成り立ちなど、原作からいろいろ変えているが、それら全てが空回りしている。
元々原作でも、視点人物が次々と退場し、特に秀樹編と香奈編では、読者が感情移入していた秀樹を香奈の視点から見た際の落差が激しく、読者の感情を揺さぶる作りになっている。
その構造を映画の脚本に中途半端に持ち込んだため、話の前半が単に冗長になってしまっている。
そして、その香奈をああいう設定にするとは、観客はいったい誰に感情移入して見れば良いわけ?(笑)
あ、でもこの香奈役の黒木華は見事だった。この脚本では才能の無駄遣い感は半端なかったけど(笑)
で、映画の尺を前半にほぼ取られているおかげで、真打ちが登場してから、つまり原作の第三部が駆け足になってしまってるわけで、さらにそこに原作にはない野崎の過去とか"ぼぎわん"の独自解釈などを突っ込み、とどめに観客から笑いを取ろうとしているとしか思えない"霊能者全員集合"イベントにオムライス(笑)
役者は、今回の黒木華は絶品だったが、岡田准一も小松菜奈も妻夫木聡も松たか子も実力確かな人たちで悪いはずもない。
この俳優陣をもって、観客を怖がらせようとしているのか笑わそうとしているのか分からん、という映画ができてしまうのは、200%脚本のせい。
多分これで自分は、中島哲也の映画は見ない。