「That’s “Retro-futurism”」イカリエ-XB1 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
That’s “Retro-futurism”
概視感を『がいしかん』と何となく読んでいた自分を恥じる、と反省して感想へ。
まぁ、その『きしかん』はハンパないのだが、しかし当然、スタートレックが影響を受けたとか、東洋の果ての島国では“特撮”なんてもので色々と同じようなことやってるぞとか、確かに1960年代にいろいろなSF映画の先祖みたいな作品が産み出された、その一つがこのチェコ作品。映画そのものも盛んであったこの国ならではの面白い、風刺の効いた作品である。
当然、原作未読なので粗筋もあまり掴めないままの鑑賞なのだが、ほんとにこれが既視感のオンパレード。先述の作品を初め、宇宙戦艦ヤマトや、ウルトラセブン、そして2001年宇宙の旅といった大作迄、キャラ、ストーリー、ロボットや宇宙船のギミック、電子音での効果、劇伴等々世界観と、何だかごちゃ混ぜになってしまう頭を、尚且つチェコ人の顔の見分けが薄ボンヤリしたままスクリーンに吸い込まれてしまうので、ほんとにケンタウルス座アルファ星へ連れて行かれるような感覚を覚えてしまった。ストーリーもタルコフスキー監督の『惑星ソラリス』の原作と同じ作家スタニスワフ・レムだからなのか、確かにその不気味な何かに対峙し、苦悩する人間達のヒリヒリとした焦燥感を、モノクローム映像を相俟って前面に表現されている。途中のコミカル且つレトロ調なダンスシーンや運動室での体操シーン等、共産主義圏の影響も色濃くあって、興味深く鑑賞できる。ただ、ネット等で調べるとどうも原作とはかけ離れている部分もあるようだが・・・ 展開的には、1987年に飛び立ったとされる宇宙船の中から、謎の病原菌が運び込まれて云々からの・・・となると、丸で『エイリアン』になってしまうかw でも、あの核ミサイルの不良爆発(発射口に挟まってしまってというのがシュールだがw)での搭乗員の巻き込まれの事と、直ぐの謎のダークスターからの倦怠感と催眠を伴う放射線を浴びる事件との何かしらの関係性があるともっと深みが増すのだけど。まぁ、でもラスト、結局助けてくれた異星人の星へ着陸する手前でエンドなのは、その後の出来事がどういう形に展開するかを想像できる余韻の残る終わり方で大変面白かった。今作品をもう少し脚本を書き加えて、尚且つ、シッカリとした主人公を物語の軸にして(本作は、主人公はこの人!というストーリーではなく、複数の人間関係が同時進行で進んでいる)、カラーでのレトロフィーチャー感を全面的に押し出したリメイクを鑑賞したいものである。