「「寄生獣」(日本のマンガ)に寄生したヴェノム」ヴェノム Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
「寄生獣」(日本のマンガ)に寄生したヴェノム
一言でいうと、派手で洗練された「寄生獣」(日本のマンガ)だ。
しかしマーベルファンは、どんなにブッ飛んだ設定でも、派生作品としてウェルカムなので、否定ではない。むしろ本作のリブート解釈は比較的おとなしい優等生タイプかもしれない。
本来のヴェノムは、サム・ライミ版「スパイダーマン3」(2007)で登場する、"ブラック・スパイダーマン"が、"ヴェノム"そのものに近い。
今回の"仕切り直し"が、スパイダーマン・スーツから独立させたことと、宇宙からやって来た目的を、"地球人を喰い尽くすこと"にしたこと、そして、地球人のために共生して、仲間のシンビオート(ライオット)と戦う設定にしたため、コンセプトが「寄生獣」に近似してしまった・・・。
どっちがパクりというわけでもない。原作のヴェノムは1985年頃に、スパイダーマンのエイリアン・コスチュームから派生した。一方で日本の「寄生獣」は1988年発表なので、ほぼ同時期の作品である。
しかし少なからず、今回のヴェノムのほうが、"寄生獣"に寄せてきた感は否定できない。作中でヴェノム自身が執拗に"寄生"(Parasyte)という言葉を嫌うのはギャグかもしれない(笑)。
弱点が、4000~6000Hzの音と高熱というのは、原作とおんなじである。
いずれにしても、出来に不満はない。スパイダーマンのヴィラン(悪役)であり、ときに仲間となるキャラクターとして、リブートは成功していると思う。3D4D系の演出がちゃんとあるので上映形式は選びたい。
ヴェノム(=エディ・ブロック)役は、最後の大物トム・ハーディー。狂気のヒーロー、"マッドマックス"であり、「レベナント」(2015)では、ディカプリオの敵討を演じていた。次期"アベンジャーズ"シリーズへの展開を想定すると、"(キャラクターを演じられる有名俳優は)、あと誰が残ってたっけ?"という感じだったので、これは嬉しい。憎みきれないヴィラン(悪役)を手抜きなしで演じている。
マーベル的には、ヴィラン(悪役)であっても、正義に翻ることがあるので、"アベンジャーズ"に入ってしまうかも。夢は、X-menのデッドプールとの共演である。20世紀フォックスもディズニー傘下に入ったことだし、もう支障はないはず。
毎回お楽しみの、"スタン・リーを探せ!"はエンディング間際。犬を散歩させるおじいちゃん(dapper dog walker)で登場していた。
エンドロールでのサービス映像は2本。
1本目は、原作で"もう一人のヴェノム"として出てくるカーネイジ(Carnage=大虐殺の意)になる、クリータス・キャサディが刑務所に収監されている。
もう1本は、来年公開アニメの「スパイダーマン:スパイダーバース」の予告編みたいなもの。ヴェノムのは直接関係ない。
(2018/11/2/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ/字幕:アンゼたかし)