劇場公開日 2018年4月20日

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「めちゃくちゃ面白い」アンロック 陰謀のコード うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0めちゃくちゃ面白い

2021年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ノオミ・ラパス強い!ここ数年は女性を主人公に据えた映画が主流になりつつあり、それだけでも趣向が変わりアクションに新機軸が生まれるきっかけになっているようで、特にそのことを強く意識させられた映画でした。

「トゥームレイダー」や「ワンダーウーマン」のような、振り付け的なアクションではなく、常に考えながら戦う女性を熱演。新ヒーロー(ヒロイン)の誕生を予感させます。きっとシリーズ化されるんじゃないかと期待しています。特にガンプレイが迫真のアクションで、あっという間にエンディングまでたどり着く丁度いい長さでありながら、見終えた時に心地よい疲労感を覚えるほど熱中して見ていた自分に気づく、独特の緊張感を生み出しています。

「アトミック・ブロンド」も自分好みの骨太アクションをシャーリーズ・セロンが熱演していましたが、それを凌駕するほどの迫力。とにかく鉄の意思を最後まで貫くノオミ・ラパスの戦闘スキルにしびれまくりでした。しかも、細かいところに繊細さも表現しており、それが彼女の人間臭さとして強調されます。群衆の中鼻血を出しながら敵を追い詰め、一瞬の機転で危機を脱する鋭さ。常に作戦の影に犠牲を伴い、そのことに心を痛めている内面の表現も見事。それでいて、ちっともウェットな芝居にならないんだから、素晴らしい。こんな女優、世界中に彼女一人でしょう。

説明的なセリフやナレーションベースを極力避け、画面の動きのみで敵と味方を描き分ける脚本と絵づくりにも感動。彼女が対峙する相手が敵なのか、味方なのか直感的に判断しているのが画面を通して伝わってくる演出と、小気味いいテンポのストーリー展開、シンプルで強いインパクトを残す銃声、意外な敵の正体など、本当に最後まで楽しませてくれました。

プロット自体は、テロリズムを未然に阻止しようとするCIAエージェントが主人公の、内部に裏切り者がいるという、本当にありきたりなものでしたが、決定的に新しい、すごい映画でした。女ジェイソン・ボーン的な、シリーズ展開を期待して、今後を見守りたいと思います。

2018.4.25

うそつきカモメ