「現代をうまく突いている」シュガー・ラッシュ オンライン さばたんさんの映画レビュー(感想・評価)
現代をうまく突いている
★インターネットの具現化
インターネットの世界を擬人化・具現化するアプローチとして非常に楽しめた。画面の情報量が多くてネタを全てを終えてないと思う。ツイッターのリツイートの表現は可愛いwってなりましたし、パケット通信や、ポップアップ広告など、分かる分かる!という表現で楽しませてくれました。
ただネタ元は海外インターネットの主流なサービスが多いので、日本人には馴染みが薄いものも多かった。ニコニコ動画や2ちゃんねる、絵文字など、日本のインターネット文化も織り交ぜて欲しかったなぁ。今後、インターネットが普及したあの頃はああだった!と、解雇するときの作品になるからこそ。スポンサー合意が得られない等の大人な事情があると思うので仕方ないですが、少なくともインターネットにおける日本カルチャーへのリスペクトが感じられなかった。そこは残念。
★ラルフとヴァネロペ
2人の関係性の変化の内容ついては他の方のレビューに説明を譲るとして、私はラルフに心情を重ね合わせてしまった。行かないでほしい、という思いに執着してされたラルフは、ついには大きな失敗まで…。ラルフのイタさ、痛さが両面で分かりすぎて辛かった。唯一の救いはヴァネロペが最終的に、行き先が違っても互いを尊重する大切な友達だと言ってくれたこと。これを受け入れたラルフは寂しさを抱えつつ、新しい毎日を迎える。頑張れ、と言いたくなる。
もしかしたら、フェリックスと軍曹とのイチャイチャする関係性は、主人公2人の関係性との対比になっていたのかもしれない。親友と夫婦の差なのか。だけど、ラルフのベッタリ具合は、どう見ても彼氏彼女関係なイチャつきぶりだけどなぁ。ヴァネロペは違いそうだけど。2人とも幼いなぁ。
★雑
演出については各所で雑さがでていて、作品の品質を落としていた。スローターレースについては、本編が可愛い絵柄なだけに、暴力的、悪意のある演出はディズニーらしくなく、もう少しマイルドにできなかったのだろうか。
また、吹替版だと画面内の随所のメッセージが日本語に置き換わってるのですが、一番のキーアイテムであるクッキー盤面のメッセージが途中で割れたあとは英語になっていて(日本語への変換をケチった。)、そこは非常に残念だった。そこをケチるなら最初から英語で良かったのに。
★総評
ネットという広大な世界で、幼い2人が無邪気に入り込むとどうなるのかという点について、非常に現代らしい作品でした。随所に雑さを認めるものの、時流を捉えるという点では映画館に足を運んでほしいと思います。ただただラルフの成長と幸せを願い、続編が出て欲しいです(笑)