劇場公開日 2018年12月22日

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「SF(すこし・ふしぎ)な世界」ふたつの昨日と僕の未来 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5SF(すこし・ふしぎ)な世界

2018年12月24日
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鑑賞方法:映画館

単純

藤子・F・不二雄さんの作品のようなSF(すこし・ふしぎ)な世界を味わえます。本作ではパラレルワールドを扱っていますが、二つの世界を雲の色の違いで描き分けたり、行き来するたびに起きる記憶の追加を映像で表現したりと、観客が混乱しないように丁寧に描かれているのでとてもわかりやすいです。

佐野岳くんの演技が少々わざとらしく感じる部分もありましたが、物語がテンポよく展開していくのですぐに気にならなくなりました。新聞記事の切り抜き、チェスの駒、ばあちゃんの言動等の伏線もきちんと回収されていたし、主人公の海斗の変容も納得のいく形で描かれていて、作品としてきれいにまとまっている印象を受けました。

ただ、それらすべてがわかりやすすぎたかなとも感じます。それゆえ、展開もオチも先が読めて、ちょっと物足りなかったです。パラレルワールドにいるもう一人の自分との反目やそれにまつわる混乱とか、もう少しひねりがあってもよかったのではないかと思います。

また、冒頭で別子銅山が登場し、以前訪問した際の記憶が甦りわくわくしたのですが、以降は物語に深く絡まず残念でした。かつて栄えた別子銅山を意味ありげに登場させるぐらいなら、現在の新居浜の魅力がもっと伝わるように描き、観客に旅行気分を味わわせてくれてもよかったのではないかとも思いました。でも、その代わりに上映後の舞台挨拶で、佐野岳くんや大森監督が撮影裏話を楽しく聞かせてくれたので、☆0.5個おまけです。

おじゃる