「味噌なし味噌汁」生きてるだけで、愛。 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
味噌なし味噌汁
ゴシップ雑誌編集者の津奈木と津奈木の家で毎日寝るだけの生活をするニート寧子。
鬱気味の寧子は、何もできない自分に嫌気が差しながらも、自分にそっけない態度を取る恋人津奈木に当たり散らかしていた。
そんな時、津奈木の元恋人の安堂が現れ、寧子を自立させて津奈木の家から追い出すために寧子を無理矢理カフェバーで働かせるが…
共感できそうで共感できない、好きになれそうだけど好きになれない、救ってあげたくなるようで突き放したくなる、なんとも言えない寧子という女性。
とても辛く重くリアルな話だった。
きっと寧子は生まれる星を間違えた。
あそこで吹っ切れたとて、また躁がやって来る。
一生社会に馴染めないんじゃないかと思ってしまい、彼女の将来を想像せずにはいられない全裸での屋上のシーンは本当に苦しい。
きっと色々考えすぎなんだよ。
今生きてるだけだって思うかもしれないけど、生きてるだけじゃないんだよ。
ただ、生きてるだけで良い。生きてるだけで、愛なんだ。
色々かけてあげたい言葉はあるけど、彼女に合うであろう言葉は見つからない。
ブレーカーが落ちるだけ。
趣里の演技が神懸かっていた。
あの役をあの形でできるのは彼女だけだなと。
菅田将暉ももちろん良い。
史上最悪の仲里依紗も必見(ただ、彼女にも悲壮感が漂っていて…)。
前半で少し苦手な映画かと思ったが、思いの外ラストはとても良かった。
ただ、あまりもう一度観たいとは思わない。
決して得意な映画ではない。
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