「フェリーニ映画が人生の扉を押し開けてくれる物語」フェリーニに恋して ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
フェリーニ映画が人生の扉を押し開けてくれる物語
この巨匠の名は様々な思いを喚起させる。親しみの湧く人もいれば、逆に敷居の高さを感じる人もいるだろう。本作の題名を前に、さぞや専門性の高い知識が求められるのでは、と躊躇してしまう人もあるかもしれない。だが心配ご無用だ。本作はむしろビギナー向け。人がフェリーニ作品にいちばん最初に心奪われ、恋をする瞬間を映し取った映画と言っていい。まるで『アメリ』を意識したかのような世界観、人生観を生きる少女が、生まれて初めて自分の殻を突き破り、恋してやまないフェリーニに会いにローマを目指す・・・そのはずが、旅は思いがけない展開に。全編にフェリーニの名作映像を散りばめ、主人公の少女自体が、ボーダーのシャツやあどけなさなど、『道』のジェルソミーナを思わせる風貌を持つ。それをあざとく思うファンもいるかもしれないが、「フェリーニが人生の扉を開いてくれた」との思いだけは共有できるはず。しんみりと暖かいラストも胸を打つ。
コメントする