「芸魂の伝承」シネマ歌舞伎 沓手鳥孤城落月 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
芸魂の伝承
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冒頭、玉三郎と七之助の解説が10分ほどあり、これがシネマ歌舞伎の利点の一つ。
そこで、七之助が「玉三郎さんの眼が凄すぎて」と言うので、本編では玉三郎の眼に釘付けになる。
確かに眼の表情の変化が凄い。
クライマックスの母子の場面で、二人は本物の涙を流す。
それが判るのも、シネマ歌舞伎の利点の一つだ。
これが最期か!?という幕切れに、物語の部分を切り取り、そこで一つのテーマを描き出す歌舞伎の演出の真髄を見る。この作品のテーマは正に母子の情愛。落城の渦中という極限状態で、そのテーマを炙り出す。史実に至る更なるドラマは、観客の想像に任される。
看板役者の玉三郎は、その眼力で舞台を支配し流石。
女形が多い七之助の、若武者ぶりは凛々しく珍しい。
この舞台は、新旧花形役者の芸魂の伝承の現場でもあった。
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