「中華料理店にいたスーツ姿のサラリーマン。まともそうな顔しているけど昼間からビールを飲んでいた。」ギャングース kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
中華料理店にいたスーツ姿のサラリーマン。まともそうな顔しているけど昼間からビールを飲んでいた。
実は詐欺集団を教育している加藤(金子ノブアキ)の講義には7割くらいまでは共感できる。貧困、格差、少子高齢化といった社会問題、政治家が2世議員、お坊ちゃまで占められてる現状など、的を射た発言だったのだ。ただ、詐欺を行うターゲットがひ弱な独居老人ばかり。弱者から金を吸い上げるところなんて共感できるはずがない!
暴力団、ヤクザの人口がかなり減った現代において、裏の社会を仕切っているのは“半グレ”といわれる不良グループ。劇中にも登場する“六龍天”なんてグループは徹底的に取材の末、設定されたものなのでしょう。オーナー、番頭、実行グループの下にメッセンジャーとか受け子とかがいる、表社会よりもヒエラルキーがはっきりしているのです。しかも、彼らは単なる詐欺だけじゃなく、高利貸し、さらに多重債務を負った女性を人身売買でオークションにかけるという非人道的な面も持つ。
こんな世界に飛び込んだのはほとんどを少年院で過ごしてきた3人の仲間、サイケ(高杉)、カズキ(加藤)、タケオ(渡辺)だ。特にカズキなんて親から虐待を受け、背中に根性焼きの跡がしっかり残っているほどで、ついには妹を守るために義父を殺してしまった過去を持っている。みんな家族を失って、3人が家族同然に暮らしている仲なのだ。そんなところへ幼い女の子ヒカリが加わり、だめだめな3人にも運が向いてくる。順調に稼いで、社会人として出直そうと頑張ってる最中に、少年院で一緒だった男に金を吸い取られることに・・・
失うものは何もない3人。中途半端なタタキをやても逃げ回るしかない。相手の六龍天は巨大な組織なので執拗なまでに追いかけてくるに違いない。ならばいっそのことトップの金を盗んでしまうという計画をする。ここで強力な助っ人が加わるのだ。トラック運転手の川合(勝矢)だ。妹が六龍天のオーナー安達(MIYAVI)に愛人となり、クビになったときヤク漬にされて殺されたという。
クライマックスはいつ失敗してもおかしくない、子供だましな作戦。ハラハラもさせられるけど、巨額の金を手に入れたらどうなるんだ?と心配もつきまとう。結局は安達のように新たな組織を作って、同じことを繰り返すんじゃないか?などと、成功してほしい、ほしくないの両面から彼らの活躍を見ていた自分がいた。だから結末はこの映画のパターンで良かったんじゃないかとも思いました。あーあ、トランクはちゃんと閉めておこうよ・・・
巫女雷男さま、コメントありがとうございます!
あのシーンは池上彰の講義なんじゃないかと錯覚するくらいでした。
公式HPに行くと、
詐欺への対処法なる動画も楽しめます。
動画も併せて見なきゃですね♪