劇場公開日 2018年10月13日

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「不可視な存在の「聖性」を示唆する、美しい恋愛奇譚」エンジェル、見えない恋人 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0不可視な存在の「聖性」を示唆する、美しい恋愛奇譚

2018年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

幸せ

萌える

原題はMon ange、フランス語で「私の天使」。盲目の少女マドレーヌに恋をした透明の少年エンジェルが主人公。母を除きエンジェルの存在を唯一知るのがマドレーヌで、2人が相思相愛になったのは大変な奇跡だ。

8~9割方カメラが写す映像=エンジェルの視点として構成したのが妙味。主人公は終始写らないので、男性観客なら自分を重ねられるし、女性なら好みのイケメンを想像できる。9月公開の「かごの中の瞳」は盲目の妻が視力を回復したことで夫婦仲に変化が訪れる話だが、本作と見比べるのも一興。見えないことはゼロではなく、相手が理想の像を投影できる点で最強、至上の存在と言える。だから聖なる天使の名が与えられたのだろう。

低予算の割にCGを効果的に使っている。映像も美しい。予告編に使われているが、マドレーヌが幼少から10代に変わるジャンプカットもシンプルだが印象的。プロローグとエピローグの呼応もセンス良し。

高森 郁哉