「ブルンヒルデに刻まれた苦いしわ」ゲッベルスと私 突貫小僧さんの映画レビュー(感想・評価)
ブルンヒルデに刻まれた苦いしわ
この作品は、一つのドキュメンタリー映画として位置づけるものとする。よって、星印の評価は「なし」とする。
男性か、はたまた女性か。一人の人間が、画面の人間の生きてきた道程とともに「ナチスの蛮行」を独り言のように語りだす。その顔面に深く刻まれたしわの一つ一つが刻銘に、今なきドイツの過去をパンドラの匣を開けるように淡々と語りだす。アメリカのプロパガンダ作品を挿入しながら、この作品が流れていく。主人公はブルンヒルデただ一人。見る側に視線をもあわせようともしない。であるから、観客サイドの自分も微動だにできない。
NHKで放映された『映像の20世紀』(ナレーション:山根 基世)での映像を、映画という大画面で見ることになる。人間が、なぜこのような想像できないほどの悪魔の所業を成しえたか。という問題を突きつけられる。ゲッペルスの残していった言葉、一字一句が、一人の文学者であるためか心に残る言葉の連続であった。
しかし、ゲッべルスにおいてブルンヒルデはどういう人間であったのかが述べられてはいない点が、非常に残念だ。
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