「スタン・リーらしいヒーロー像が垣間見れた」X-MEN:ダーク・フェニックス 虹孔雀さんの映画レビュー(感想・評価)
スタン・リーらしいヒーロー像が垣間見れた
今作では、ジーン・グレイという一人に焦点を当て、
彼女の心情描写の変化にフォーカスされているためか、
スタンらしいヒーロー像が鮮明に映し出されていたと思う。
今作の一番の見所は、ジーンが心の闇に翻弄され、
コントロール不能になりかけるも、過去の記憶から、
自らの善なる本性を呼び覚まし、真にヒーローとして、
目覚めていくシーンだ。
具体的には、
ジーンがプロフェッサーに『許す』
と言い放った言葉を覚えているだろうか。
同時に、その言葉が彼女のコントロール不能であった、
ダークフェニックスを支配し、能力(ギフト)を、
どのように使うか、自らの意思で決定した瞬間であったと思う。
この瞬間、新たなヒーローの誕生だ。
最後は、自らの命をも惜しまずに、ファミリーを護るため、
自らとともに敵を葬りさる様は、涙モノだ。
これが、「スタンらしい」と言った理由である。
彼のヒーロー像には、「大いなる力には、大いなる責任が伴う」、
という思想が入っている。
「愛」や「許し」「自己犠牲」といった、
特殊な能力を持ったものが、果たすべき責任とでも言うものを
スタンはどんなヒーローにも織り交ぜてあると感じるのだ。
「許す」という言葉は、どこかで聞いたことがあるが、、、
そう、「スパイダーマン3」で愛する叔父を殺されたピーターが、
サンドマン(叔父を殺した脱獄犯)に「君を許すよ」と言い放った、
あの名シーンだ。
この瞬間、ピーターの「恨み・憎しみ」が消え、
彼が、叔父の死を乗り越えて、
真のヒーローとして、生まれ変わった瞬間なのだ。
そういうわけで、最後にジーンが生まれ変わって、
光り輝くフェニックスになったことが、
この映画では、最大の見所なのではないかと思うのだ。
もちろん、ジーンの表情の一つひとつも、
演技としては最高だと思う。
彼女を演じきった、ソフィー・ターナーも
本当に素晴らしかったです。
最後に、オセロ版を全て白にひっくり返していくような、
絶妙な一手が本作では感じられました。
スタンマジック素晴らしいです!